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6割制限なし 国内主要大学、指針策定せず

防衛省庁舎=東京・市ケ谷で本社ヘリから竹内紀臣撮影

 国内の主要大学の6割以上が、軍事研究を禁止・制限する研究指針や倫理規定などを策定していないことが、毎日新聞のアンケートで分かった。防衛省などとの共同研究や資金提供を届け出・審査する仕組みのない大学も4割超あった。第二次大戦で戦争に協力した反省から、日本の科学界は戦後、軍事研究とは距離を置いてきたが、政府は近年、国家安全保障を目的に大学でのデュアルユース(軍民両用)研究を推進しており、大学に所属する研究者の関与への歯止めが不十分な現状が明らかになった。

 調査は4〜5月、医理工系の学部を持つすべての国公立大と、国からの科学研究費の配分額上位の私立大など全国117大学に書面で実施し、76大学から回答を得た(回答率65%)。

 軍事研究を禁じたり一定の制限をしたりすることを明記した研究指針や倫理規定、行動規範が「ある」のは29大学にとどまり、47大学が「ない」と答えた。防衛省や米軍など国内外の軍事や安全保障に関わる機関から共同研究や資金提供の申し出を受けた場合、学内で届け出や審査をする仕組みの有無についても31大学が「ない」と回答。指針類も届け出・審査の仕組みもないのは28大学だった。

 一方、防衛省が防衛装備品への応用を期待して大学などの最先端研究に資金を配分する「安全保障技術研究推進制度」に対しては、東北大や九州大、広島大など12大学が応募しない方針を決めたことが分かった。

 応募しない理由として「軍事技術や武器・兵器などの開発応用に直接つながる研究に誘導される可能性が否定できないため」(東北大)など、軍事研究との違いの不明確さが挙がり、大学側に一定の警戒感がある現状がうかがえた。応募すると明言したのは1大学。残りは「分からない」や「把握していない」などだった。

 同制度は防衛省が昨年度に開始。防衛装備品への応用に向け「独創的な研究を発掘し、有望な研究を育成する」狙いでテーマを設定し、大学や研究機関の研究者から公募する。初年度は109件の応募があり、58件を大学が占めた。今年度は予算枠が6億円に倍増され、今月18日まで公募した。自民党の国防部会は予算枠を100億円規模に引き上げることを求めている。

 軍事研究を巡っては、科学者の代表機関「日本学術会議」が1950年に「戦争を目的とする科学研究」、67年に「軍事研究」を否定する声明を決議した。しかし、最近の政府の動きなどに照らして「時代に合わない」との意見が出ているため、今月20日に軍事研究のあり方を探る「安全保障と学術に関する検討委員会」の設置を決め、従来の原則を見直す検討を始めている。【千葉紀和】

組織で対応必要

 国内外の軍民両用技術に詳しい政策研究大学院大専門職の小山田和仁さん(科学技術政策)の話 6割もの大学に指針などがないのは意外だった。日本を含む先進国では軍事防衛分野の研究開発費は停滞し、大学や民間部門の成果をいかに活用するかが各国政府にとって課題となっている。次世代の民生技術を生み出す可能性の点からも、デュアルユースは重要になるだろう。大学は組織として判断基準や管理の仕組み、技術流出対策の整備など、主体的な対応が求められる。

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