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熊本地震

早期復旧、BCP決め手 被災企業、備え奏功

 熊本地震で熊本県内の企業の生産拠点が数多く被災した。一部のメーカーは、東日本大震災を機に策定・強化したBCP(事業継続計画)を実行。建物の耐震化を進め、復旧手順に従って早期の生産再開を果たした。非常時に備えたBCP策定の重要性が再認識されそうだ。【石田宗久】

     ■対応情報を公開

     半導体製造、ルネサスエレクトロニクスは、自動車用マイコンを製造する子会社の川尻工場(熊本市)が被災した。ルネサスは東日本大震災で茨城県の工場が3カ月間、操業停止した苦い経験がある。これを教訓にBCPを見直し、川尻など各地の拠点工場で震度6強を想定した耐震補強を進め、精密な半導体製造装置の下には揺れを抑制する免震台を敷いた。

     今回の地震直後からBCPの手順に従って従業員の安否や被害状況を確認した。BCPは地震後1週間で「再開目標」の時期を、1カ月間で「完全復旧」のめどを示すと規定している。これは取引先がルネサスの復旧を待つか、他の部品調達先を探すかの経営判断の参考にしてもらうためで、今月23日までに計8回、対応状況の情報を公開した。

     川尻工場を襲った揺れの規模は東日本大震災の半分以下で、クリーンルームは機能喪失を免れ、先月22日に一部生産を再開。その1カ月後に地震前の生産水準に戻った。

     ■定期的に訓練

     同時に熊本県内の2拠点が被災した三菱電機。パワーデバイス製作所(合志市)、液晶事業統括部(菊池市)ともクリーンルームが損傷した。BCPに従って本社から技術者が応援に入って復旧を進める一方で、操業停止中は県外にある生産委託先の増産で補った。両拠点はそれぞれ今月9、20日に生産を再開した。

     ホンダの国内唯一の二輪車製造拠点、熊本製作所(熊本県大津町)は、東日本大震災後にBCPを見直して工場の耐震工事を実施し、水や保存食を備蓄した。定期的な避難訓練もしていて、今回の地震発生時も従業員が落ち着いて行動できたという。想定外だったのは地元の大津町から寄せられた「避難所が足りない」という相談だった。同社は「地域のために」と、先月21日から従業員向けのフィットネスルームを避難所として開放した。二輪車の生産再開は8月を目指す。

     一方、サントリーは、BCPに基づき九州熊本工場(熊本県嘉島町)の従業員の安否を確認、他工場での代替生産に切り替えた。しかし、生産設備の被害は大きく、再開は数カ月先の見通しだ。

     ■必要性再認識を

     東北大災害科学国際研究所の丸谷浩明教授(防災社会システム)は「生産拠点が被災してもBCPが有効に働き、供給責任を果たせた企業もあった。企業は地震で建物や設備が損傷して事業継続が困難になる可能性を再認識し、備える必要がある」と話している。


     ■KeyWord

    事業継続計画

     Business Continuity Planの略称。自然災害や火災、テロなどの緊急事態に備えて企業や行政が損害を最小限にとどめ、重要な事業や業務を継続、早期復旧させるための計画。指揮命令系統の構築▽従業員の安否確認▽被害状況の把握▽代替拠点の確保−−などを定めて生産停止などのリスク低減を図る。2001年の米同時多発テロ以降、注目された。国内でも11年の東日本大震災などを教訓にBCPを策定する企業が増えた。

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