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ヘイトデモに厳格対処、既存の法活用…通達

ヘイトスピーチデモの一団に抗議しようとする地元の住民らを押さえ込み、ヘイトデモを進めようとする警察官ら=川崎市川崎区で2016年1月31日、後藤由耶撮影

 特定の人種や民族に対し差別的言動を街頭などで繰り返すヘイトスピーチのデモ行為に対し、警察庁は名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪などの現行法を駆使して厳しく対応していく方針を固めた。先の国会で成立したヘイトスピーチ対策法が3日に施行され、これに合わせて各都道府県警に通達を出した。

 同法は、ヘイトスピーチを「差別的意識を助長する目的で、危害を加えると告知するなど地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」などと定義。国に差別的言動の解消に取り組む責務を、地方自治体には解消のための努力義務を課している。ただし、憲法の保障する「表現の自由」を侵害する恐れから、罰則や禁止規定はなく、警察当局はヘイトスピーチそのものを取り締まることはできない。

 警察庁は、通達で同法の趣旨を改めて説明する一方、ヘイトデモの最中に違法行為があれば、現行法で厳正に取り締まることを指示した。具体的な罪名は明示しないが、名誉毀損罪や侮辱罪、道路交通法違反などを想定しており、「これまで以上に厳正に対処することで、ヘイトに厳しい姿勢を示す」(警察庁幹部)としている。

 ヘイトデモに対する警察の警備では、これまで「ヘイトデモよりも、デモに抗議する人たちの警戒を重視している」との批判が寄せられていた。これを踏まえ都道府県警に状況に応じた警備態勢を指導していく。

 ただし、ヘイトデモの許可申請を却下することには慎重だ。

 警察庁によると、多くの都道府県で制定されている公安条例では、主催者側からデモの申請があった場合、「公共の安寧」に直接危険があると認められるとき以外は許可することになっている。東京都公安条例を巡る最高裁判決(1960年)も、申請について「実質的に届け出制と異なるところがない」との見解を示している。

 警察庁幹部は「従来デモの内容によって許可を出す、出さないという判断はしていない。内容で決めると事前検閲の可能性もある」と話す。【川上晃弘】

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