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今週の本棚

小島ゆかり・評 『石川啄木』=ドナルド・キーン著

 (新潮社・2376円)

芸術は不道徳の非難を恐れぬこと

 評伝である本書の進行に沿って石川啄木の生涯を追体験するうち、いつのまにか啄木の生きた時間の奥深くへ入り込むような錯覚を覚える。啄木はなぜ、生地・日戸(ひのと)村(岩手県)に関して一切口をつぐんでいたのか。年少にしてなぜ、並外れた知識を持ち得たのか。また、家族間の複雑な心境、早熟な恋愛、そして少年啄木の反抗精神について。その故郷と少年時の姿にすら、すでに多くの謎を見出(みいだ)して本書は始まる。

 啄木の成績が極めて優れていたので、級友たちは啄木を「天才」と呼び、この呼称は生涯啄木に付いて回った…

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