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熊本地震

認知症相談の8割「悪化」 避難所から不明者も

熊本地震では避難所となった体育館で多くのお年寄りも過ごした=熊本県益城町で、岩崎邦宏撮影

 熊本地震後、5月末までに熊本県の認知症コールセンターに地震に関係する相談が81件寄せられ、そのうち約8割が「地震後、家族の認知症が悪化した」という内容だったことが分かった。避難所から行方不明になる事案も相次いでいる。認知症患者は環境の変化によるストレスで、不安になったり混乱したりするため、専門家は理解と温かい見守りを呼びかけている。

 コールセンターは、認知症患者やその家族の相談を無料で受け付けるもので、2009年に設置。県の委託を受けた公益社団法人「認知症の人と家族の会」の熊本県支部が運営している。

 コールセンターによると、熊本地震前震翌日の4月15日〜5月末、252件の相談があり、このうち「地震」などの言葉が使われた「地震関連」の相談は81件。81件中63件は「地震後、認知症が悪化した」との相談だった。

 県警によると、避難所からの行方不明事案も相次いでいる。(1)4月20日、熊本市北区で81歳の男性(2)4月23日、同県益城(ましき)町で84歳の女性(3)5月7日、同町で82歳の男性−−がそれぞれ行方不明になった(その後発見)。

 熊本市西区の男性(61)は妻(61)が7年前に若年性アルツハイマーになり、要介護度は最も重い5で寝たきりだった。4月14日の前震で同市南区のデイケア施設に避難したところ、16日の本震で自宅が全壊。避難生活が長引くにつれ妻のうわ言が増え、呼びかけへの反応も鈍くなった。男性は「避難時に怖い思いをさせたから症状が進んだのでは」と自分を責める。

 熊本市東区のNPO法人「あやの里」が運営する認知症のグループホームには「避難所暮らしで落ち着きがなくなった。受け入れてもらえないか」などとする相談が相次いでいる。地震前の入居者は定員の34人だったが、最大45人まで増え、8日現在は40人。

 認知症は家族の負担が大きく、不安を共有して負担を軽減するために患者や家族らが境遇などを語り合う「認知症カフェ」を主宰している。患者の食事や入浴介助などもあり、岡元俊子代表は「人手が足りず、これ以上は受け入れられない」と語る。

 コールセンターは096・355・1755(水曜日を除く毎日9〜18時)。同会のフリーダイヤル(0120・294・456)でも無料相談を受け付けている(平日の10〜15時)。【中里顕、宮崎稔樹】

温かく見守って

 筑波大の水上勝義教授(精神医学)の話 避難生活による住環境の変化をきっかけに、認知症高齢者は不安で落ち着かなくなったり、混乱したりすることがある。自治体や周辺住民などがこうした現状を深く理解し、温かく見守ってほしい。そうすることで、患者の不安が和らぎ、家族の負担も軽減することができる。

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