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イスラエルの技術導入 政府、年内にも覚書

 政府は、国内の電力インフラなどのサイバーセキュリティーを強化するため、年内にもイスラエル政府と技術協力の覚書を交わす方針を決めた。米国と並ぶサイバーセキュリティー先進国の知見を生かしたい日本と、ビジネスとしての展開を狙うイスラエルの思惑が一致した。日本国内の研究施設でイスラエル製防御機器の導入試験を行うほか、専門家を招き、サイバー攻撃への防御演習も行う。インフラのサイバーセキュリティーの分野で、日本が本格的な協力関係を結ぶのはイスラエルが初めて。

 政府は、2020年東京五輪に向け、サイバーセキュリティー対策の強化を進めており、特に電力、ガス、鉄道などを制御するシステムへの攻撃対策は急務となっている。制御システムはインターネットと常時接続していないケースが多いが、USBメモリーを利用するなどの手口で、ウイルスに感染するケースが出ている。また電力自由化の進展や、インターネットと工場の機器などを接続するIoT(モノのインターネット)の発展で、リスクが高まっている。

 イスラエルは中東諸国との対立で、日常的にサイバー攻撃にさらされている。このため、攻撃の検知や防御ソフトの開発などに多額の資金を投入、世界最先端の技術を誇る。南部ベルシェバには軍、研究機関、企業を集結させた官民一体の研究拠点もある。優秀な技師が多いとされ、最近5年間でサイバーセキュリティー関連の企業が倍増。イスラエル政府は開発した機器やソフトの輸出も進めたい意向で、インフラの制御系システムの防御力強化を図る日本への売り込み攻勢を強めている。

 両政府は年内に詳細な覚書を交わし、宮城県にある技術研究組合「制御システムセキュリティセンター」でイスラエル製品やソフトの試験を行う計画だ。同センターでは約1600平方メートルの施設内に、発電所や工場などを模した11のプラントがあり、電力、ガス会社などが制御システムへのサイバー攻撃を想定して訓練を行っている。政府は、国内の電力会社などがイスラエル製品の性能を確認したうえで、導入する環境を整える。またイスラエルの専門家を招き、同センターで模擬訓練も行う。

 このほか両政府は、イスラエルのベンチャー企業と日本企業によるサイバーセキュリティー関連製品の共同開発や、アジア諸国への将来の輸出の支援も視野に入れている。

 日本とイスラエルは、14年の首脳会談の共同声明に、サイバー分野での協力を盛り込んでいる。今年1月、テルアビブで開催された、サイバー攻撃への対抗策を展示する大規模な国際見本市「サイバーテック」には、日本企業が初出展するなど、民間レベルでの交流も深まっている。【宮川裕章】

サイバーセキュリティー

 インターネットのサーバーやコンピューターなど、通信ネットワークに接続した設備や機器をウイルスなどの攻撃から防御すること。攻撃を受けるとデータ流出や不正作動などのリスクがあり、多大な損害につながる可能性がある。発電所や送電線網、鉄道などインフラの制御ネットワークは通常、外部から独立しているが、保守点検などの際にインターネットと接続され、不正なアクセスを受ける可能性がある。政府は2020年の東京五輪を前に、大企業を対象としたサイバー防御の模擬訓練を始めたほか、新しい資格試験の導入などで専門知識を持つ人材の育成を急いでいるが、企業側を含めた対策の遅れが指摘されている。

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