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沖縄県民大会

苦しみ、いつまで続く…鎮魂の黒いかりゆし

米軍属事件に抗議する県民大会で歌を聴き、被害者を思い涙を流す女性=那覇市で2016年6月19日午後2時9分、森田剛史撮影

 沖縄の苦しみはいつまで続くのか。沖縄県うるま市の女性(20)を殺すなどして元米海兵隊員の男が逮捕された事件を巡り、19日に那覇市で開かれた抗議の県民大会。深い悲しみと抑えきれない怒りを胸に、約6万5000人(主催者発表)の参加者たちは「二度と同じような事件が起こることは許さない」と、日米両政府に対して憤りの声を上げた。

 小さな子供の手を取る母親、つえをついたお年寄り、被害女性と同世代の若者……。南国の焼け付くような日差しの中、駆け付けた参加者たちは、被害女性への追悼の意を示す黒いかりゆしウエアやシャツなどを身に着け、午後2時の大会開会の前から会場は鎮魂の思いで埋まっていった。

 大会は、米軍嘉手納基地内の交通事故で父を亡くした沖縄民謡歌手、古謝(こじゃ)美佐子さん(62)が歌う、母の我が子への愛情を込めた曲「童神(わらびがみ)」でスタート。その後、参加者全員で黙とうをささげた。

 「私の娘も被害者の一人となりました。なぜ娘が殺されなければならなかったのか」。被害女性の父親からのメッセージが代読されると、会場は静まりかえった。容疑者逮捕から1カ月となるこの日は「父の日」。目頭を押さえて涙ぐむ人の姿もあった。

 被害女性と同世代の若者たちの訴えが続いた。「安倍晋三さん、本土に住む皆さん、今回の事件の第二の加害者は誰ですか。(沖縄に基地を押しつける)あなたたちです。沖縄に向き合っていただけませんか」。被害女性と同じうるま市に住む名桜大4年の玉城愛さん(21)が壇上で声を振り絞ると、拍手と指笛がわき起こった。

 宜野湾市出身で国際基督教大(東京)4年の元山仁士郎さん(24)は「この島に住む人たちは、何の心配もなく『いってらっしゃい』と子供や恋人を送り出したいだけ。普通に生きていたいだけなんです」と訴えた。

 1995年の米兵3人による少女暴行事件の後にも県民大会が開かれ、約8万5000人が怒りの拳を突き上げた。この暴行事件を受けて「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」をつくった高里鈴代さん(76)は「このようなことが二度と起こらないよう決意したい。傷つき、殺され、沈黙を強いられている女性の声にしっかりと耳をすまして聞こう」と力を込めた。

 一方、女性の遺体が発見された沖縄本島北部の恩納村の雑木林には、19日も朝から大勢の人が線香や花束を手向けていた。琉球大3年の安藤霧子さん(21)は「事件があってから怖くて夜は出かけづらくなった。沖縄に基地はいるのでしょうか」と話した。【川上珠実、蓬田正志】

「基地があるから、繰り返される」

 県民大会に集まった人たちに参加した思いを聞いた。

 太平洋戦争末期の沖縄戦を経験した沖縄県北中城村の喜納(きな)昌弘さん(83)は「基地があるから同じことが繰り返される。戦後71年間、(事件をなくすために)何もできなかった自分が悔しい」と、声を震わせた。

 被害女性が住んでいたうるま市の主婦、嘉手苅(かでかる)沙耶乃(さやの)さん(31)は、長男(4)の手を引いて初めて県民大会に参加した。「子どもを持つ母になって初めて恐怖を感じた。一日でも早く基地を減らしてほしい」と祈るように語った。

 被害女性と同年代の那覇市の大学4年、中村千沙乃(ちさの)さん(23)は「年齢も近く、人ごととは到底思えず、悲しかった。若い私たちが声を上げないといけないと思い参加した。本土の人にも自分のこととして考えてほしい」と話した。

 一方、参加を見送った人もいる。沖縄市の自営業の男性(51)は、「米軍基地への反対色が強すぎる。静かに追悼したい」と話した。いとこが米軍人と結婚しており、「今回の事件は最悪だが、軍人すべてが悪いわけではない」と複雑な表情を浮かべた。【比嘉洋、生野貴紀、蓬田正志】

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