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完成直前に都「建築不許可」

工事がストップしたマンション(右)。細い急坂に面している=東京都文京区で2016年5月16日午後1時32分、伊藤直孝撮影

近隣住民ら請求、業者取り消し求め提訴

 東京都文京区で建設中の大型マンションの建築確認が、都建築審査会の裁決によって完成直前に取り消され、半年以上工事がストップしている。審査を請求した周辺住民は「住民の疑問に応えず工事を急いだ結果だ」と業者側の対応を批判。これに対し、建築主2社は5月、裁決の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。紛争解決の糸口は見えず、建築の可否は司法の判断に委ねられる。30日に第1回口頭弁論が開かれ、都側は全面的に争う見込み。

     問題のマンションは文京区小石川2でNIPPO(東京都中央区)と神鋼不動産(神戸市中央区)が建設する「ル・サンク小石川後楽園」(107戸)。2012年7月に建築確認を受け、13年に着工。地上8階、地下2階の建物はほぼ完成したかに見えるが、高さ約2メートルの白い囲いに覆われたままだ。完売していたが、工事が止まったため2社は購入者に総額22億円の解決金を払って解約した。

     建設計画が浮上した04年以降、周辺住民は業者に安全面や景観面の懸念を繰り返し指摘してきた。住民側は建物が急坂に面していて駐車場の出入り口の安全面に問題があるとして、建築確認から2カ月後で着工していない段階の12年9月、都審査会に建築確認取り消しを求めた。

     都審査会は昨年11月、マンション1階の駐車場と道路の高低差が最大2・5メートルある点などから、1階は災害時に屋外に直接出られる「避難階」には当たらず、避難階段もなく安全基準を満たさないとして建築確認を取り消した。都審査会では5年ぶりの判断という。

     一帯は区の決定で14年3月に建築物の高さが22メートル以下に制限された。新たな建築確認を受けるには2階分(約5メートル)低くする必要があり、2社は裁決を取り消す判決を得て従来の計画のまま工事を再開したい考えだ。

     審査請求人の一人で地元住民の戸波江二さん(69)は「確認取り消しは住民が求めた設計の見直しを認めずに工事を急いだ結果だ」と強調し、設計変更を求めている。

     文京区では傾斜地などで建設を巡る紛争が相次ぎ、11の住民団体が5月、着工前に住民、自治体、事業者3者の利害調整の場を作るよう区議会に請願した。請願人代表の中山代志子弁護士は「画一的な規制では地域事情が反映されず紛争を生む。地域の声が取り入れられる公平で透明性の高い調整の場が必要だ」と話している。【伊藤直孝】

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