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英国

移民への憎悪犯罪が急増…離脱派勝利を曲解か

ポーランド社会文化協会のクリシー・ベル理事。背後の壁には黄色のスプレーによる落書きの跡がまだうっすらと残っていた=ロンドン市内で2016年6月27日、三木幸治撮影

 【ロンドン三木幸治】欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票の後、英国で移民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が増加している。特に狙われているのは、移民の中で最も多いポーランド人だ。離脱派の公約だった移民制限が「国内の移民を追い出す」と曲解され、影響を及ぼしている可能性がある。キャメロン英首相は27日、下院での演説で「ヘイトクライムのような卑劣な行為を根絶しなければならない」と訴えた。

 「ポーランド人は出て行け!」。26日早朝、ポーランド移民の拠点であるロンドンの「ポーランド社会文化協会」の入り口ドアに、黄色のスプレーで文字が殴り書きされているのが見つかった。

 「協会創設から40年間で、こんなことが起こったのは初めて。本当に悲しい」。同協会のクリシー・ベル理事(55)は目に涙を浮かべ、こう語った。

 防犯カメラには、帽子をかぶった男が自転車で乗り付け、文字を書いている姿が映っていた。「国民投票の結果が関係しているとしか思えない。離脱の是非はともかく、犯罪に影響を与えているのは恐ろしいことです」。ベルさんは嘆く。

 被害はロンドンだけではない。英南部ハンティンドンのポーランド人コミュニティーでは25日、「EUから離脱する。ポーランド人のようなくずはもういらない」と書かれた紙が一斉に、住宅の郵便受けや軒先に投げ込まれた。警察が捜査しているが、容疑者は不明だ。

 警察当局によると、国民投票が行われた23日から4日間に届けられたヘイトクライムは85件で、前月同期の約1.5倍に達した。街中で男がポーランド人女性に対して「我々は勝った。早く自分の国に帰れ」と叫んだケースなど、ツイッターでも多数の悪質な事例が報告されている。

 英国に住む外国籍所持者数は2014年末時点で約534万人。ポーランド国籍所持者が最も多い85万3000人で16%を占める。英国は第二次大戦前後、ユダヤ系を中心に多くのポーランド移民を受け入れたが、ポーランドが04年にEUに加盟した後、新たに大勢の移民が入国した。

 英国は、EU加盟国の国籍保持者については入国審査を簡略化する優遇措置をとっている。これに対して離脱派は、能力評価などに基づいて入国を許可するポイントシステムを導入し、移民を制限することを主張してきた。ただ、既に英国に住んでいる移民の扱いについては明確にしていない。

 キャメロン首相は演説で、英国の移民の権利は「すぐには変わらない」と指摘。「(移民は)英国に大きく貢献している。(国民投票後も)我々はこの国を一つにする責任がある」と強調した。ポーランドから英国に移住して20年になるロンドンの洋服販売店員、リリ・ショクミさん(39)は「英国で一番好きなところは人種、文化の多様性。今後どうなるかわからないが、今のままの英国であってほしい」と悲しそうに話した。

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