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社説

超高齢化と政治 長寿をリスクにするな

 老後が心配だという声をよく聞く。参院選での有権者の関心も「年金・介護」が高い。消費増税の延期で低年金・無年金者の支援や低収入の高齢者の介護保険料の減免が見送られる公算が大きく、ますます老後が不安になった人は多いだろう。

     こうした高齢者の心情を逆なでするような発言が麻生太郎副総理兼財務相からあった。「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」。参院選の応援に訪れた北海道小樽市での講演だ。

     「個人金融資産は1700兆円を超えるのに、それが消費に回らないことが問題」というのが講演会での麻生氏の主張である。しかし、政府の無策のために高齢者は不安で金をためているのであり、安心して消費できるようにするのが政府の責任ではないのか。それを棚に上げて、高齢者をやゆするのは心得違いもはなはだしい。

     麻生氏のように75歳になっても健康で裕福な人ばかりではない。お金も家族もない高齢者にとって老後が心配なのは当たり前だ。

     日本人の平均寿命は延び続けており、100歳以上の人は6万人を超える。2050年には68万を超えるとの推計もある。厚生労働省は今年から敬老の日に100歳のお祝いに贈る「銀杯」を純銀製から銀メッキに変更する方針という。このまま100歳の人が増え続けると経費が膨らみすぎるためだ。

     若くして死亡するリスクに備えるのが死亡時給付型の生命保険だが、「長生きリスク」の方を国民は心配するようになり、入院時やがんになった時に保険金が支払われる医療保険に入る人が増えている。

     もともと公的年金は何歳まで生きても受給できることから、「長生きリスク」に備えた社会保障制度だ。だが、少子高齢化で年金財政を維持するため、受給水準を下げるマクロ経済スライドが導入された。年金給付が下がっていくのであれば、誰しも老後が心配になるだろう。

     民間の医療保険が人気を集めるのは、公的な社会保障が不十分であてにならないと多くの人が思っているからではないのか。

     90歳を超えても現役で働き、文化的な活動をして社会に貢献している人は大勢いる。高齢になっても心身が健康な「健康年齢」を延ばそうというのは、安倍政権が閣議決定した「ニッポン1億総活躍プラン」にも盛り込まれている。長寿をリスクにしないための方策こそが必要だ。

     国民の老後の不安に正面から向き合う政治であってほしい。

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