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大学が過激派の「温床」 勧誘役の存在

バングラデシュの人質テロ事件で亡くなった犠牲者を追悼するため花を手向け、悲しそうな表情で立ち去る女性=ダッカで2016年7月5日午後1時半、小出洋平撮影

 日本人7人が犠牲となったバングラデシュ・ダッカで起きた人質テロ事件。実行犯の多くは裕福な家庭で育っていた。なぜ、比較的恵まれた若者たちが過激思想に染まったのか。背景を探ると、ネット上で拡散する「聖戦」の訴えに感化されやすい若者の姿やダッカの大学が過激派の「温床」となっていた可能性が見えてきた。【ダッカ金子淳、クアラルンプール平野光芳】

     実行犯らはインターネットのソーシャルメディアで過激派組織「イスラム国」(IS)への関心を強め、ネットを通じて過激思想に染まっていった可能性が出ている。

     リーダー役のニブラス・イスラム容疑者は短文投稿サイト「ツイッター」で、過激なイスラム教指導者やISのリクルーター(勧誘役)とされる人物を14年からフォロー。少なくとも2年前にはISへの関心を示していた。

     その一人はロンドンを拠点に宗教活動をしていた著名なイスラム教指導者アンジェム・チャウダリー被告で、ISへの支援を呼びかけたとして昨年8月、英警察に反テロ法違反の疑いで逮捕された。

     もう一人は「シャミ・ウィットネス」の名前で登録していたインド人のメディ・ビスワス被告。ビスワス被告はツイッターを通じてISの宣伝活動をしており、テロをあおったとして14年12月にインド警察に逮捕された。

     ほかにも、実行犯の一人、ロハン・イムティアズ容疑者も昨年、過激な発言で知られるインド人のイスラム聖職者、ザキール・ナイク師の「すべてのイスラム教徒はテロリストになれ」との発言を会員制交流サイト「フェイスブック」上で広めていた。

     イスラム過激思想は以前から、こうした若者が集まる場所に浸透していたようだ。

     イスラム容疑者が通っていたダッカ市内の有名私立大学は、以前から過激派の温床になっていた可能性がある。地元メディアによると、2012年に米ニューヨークの銀行を爆破しようとして元学生が逮捕された。13年には、バングラ国内で無神論を表明していたブログで著名だった人物が刺殺された事件で、学生のグループ数人が逮捕されていた。容疑者の若者らはいずれも武装組織に所属したり、過激思想に染まったりしていたとされる。

     過去には、この大学を含む計2大学で、バングラのイスラム過激派「ジャマトル・ムジャヒデヒン・バングラデシュ」(JMB)と関わりを持つ学生2人が、同グループの新たなメンバーを大学で勧誘したとして逮捕されている。

     物質的にも不自由のない彼らが行き着いた先は、命を軽んじる極端な思想と行動だった。

     人質だったレストランの男性従業員は「容疑者たちが死を望んでいるのは明らかだった」と米紙ニューヨーク・タイムズに証言した。同紙によると、夜が明け、治安当局が店を包囲すると、容疑者の一人が横たわる人質の遺体を指さしながら、「俺たちにも同じことが起こるんだ」と穏やかに語った。

     午前7時半、治安当局が救出作戦を開始。容疑者の一人は「俺たちは行くよ。天国で会おう」と従業員に告げ、治安当局が待ち構える屋外に出て行った。

     豊かで最先端の暮らしの中に、過激思想の魔手が潜む「落とし穴」があったのか。カーン内相はこう肩を落とした。「テロが(若者たちの)ファッションになってしまった」

      ◇

     イスラム容疑者は12年、ダッカの私立大学からマレーシアの大学に留学したことが分かっている。イムティアズ容疑者も同じ大学に留学していた。イスラム容疑者の知人によると、同容疑者は14年後半に失恋したことをきっかけに過激思想に染まっていったとみられ、帰国後の彼は様子が一変していたという。

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