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鴻巣友季子・評 『遠読−<世界文学システム>への挑戦』=フランコ・モレッティ著

 (みすず書房・4968円)

十数年来の世界文学ブームの火付け役

 「遠読」とは聞き慣れない言葉だが、原典を精密に読むclose reading「精読」に対して、distance(距離)をとって読むという意味であり、「翻訳を介して読む」という手段が含まれる。二十世紀の半ば過ぎまでは、欧州とせいぜい米国の文学を視野に入れていれば、「世界の文学」は語れた。しかしポストコロニアル以降、欧州言語による文学だけを比較しているのでは間に合わなくなった。とはいえ、世界中の作品を原典で読み尽くしてから研究にかかるのは不可能だ。

 そこで、モレッティはまず全体図を捉えるため、コンピュータ解析や、地図・樹系図などのビジュアルツール…

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