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余録

「せいかつの中にはカツがある…

 「せいかつの中にはカツがある/オレンジの中にはオレがいる/おにぎりの中にはオニがいる/アイスの中にはあいがある」。肢体不自由・知的障害・視覚障害のある大阪の山口陶志(やまぐちとうし)さんが昨年のNHKハート展に出した詩「あいがある」だ▲当時13歳の山口さんはふだんいろいろなダジャレを考えていて、先生や友達に分かってもらった時が最高にうれしいという。もちろん読む人の心もほっこり温かくする言葉とのたわむれだ(第20回ハート展のサイトから)▲ひるがえってきのう、ニュースを聞いた誰もの心を凍らせたのは重い知的障害をもつ人たちに向けられたえたいの知れない悪意だった。入所していた障害者19人の命を奪い、それを上回る数の重軽傷者を出した相模原市の障害者施設「津久井(つくい)やまゆり園」襲撃である▲この事件で逮捕されたのは施設の元職員で、刃物で入所者らの首などを次々に刺していったらしい。身動きもままならない弱者を容赦なく襲う冷酷はいったいどのようにして生まれたのだろう。容疑者は「障害者がいなくなればいいと思った」と供述しているという▲言葉通りに受け取れば、昨今の世界で相次ぐテロにも通じるヘイトクライム(憎悪犯罪)とも思える。容疑者には犯行を予告する手紙を衆議院議長公邸に持ち込む奇行があり、大麻の使用も明るみに出た。殺意の正体はその深奥にまで立ち入って解明せねばなるまい▲人命を数に変えてしまう殺りくを報じる国際ニュースが続く中での戦後最悪規模の殺人事件だ。失われた命にはそれぞれに「あい」があった。容疑者にとりついた魔物の素顔はしかと見極めたい。

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