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書店の活性化 未知の世界を届けたい

 書店の減少が加速している。東京の紀伊国屋書店新宿南店が、洋書を残して売り場を大幅に縮小させる。1996年のオープン当時は、国内最大級と話題になった書店だった。

     紀伊国屋書店は、村上春樹さんの新刊の初版9割を買い切り、話題を集めた。書店に元気がないと出版業界が活力をなくす。「ネット書店」の売り上げ比が増えれば出版物の総売上高が落ちる心配がある。流通のあり方を見直さなくてはいけない。そんな危機感によるものだった。

     新宿南店が8月初旬に売り場を縮小するのはビルの賃料交渉がまとまらなかったのが理由だが、背景には「ネット書店」との競争もある。

     街の書店の魅力は多様性にある。店頭で未知の世界に出合ったり、店主に読書の楽しみを教わったりした経験がある人も多いのではないか。また情報を簡便にインターネットで確かめるようになってきたが、物事を掘り下げ、人生の糧となる知識を得るには本が欠かせない。

     集客策の一つとして書店はブックフェアに取り組んでいる。

     大阪のジュンク堂書店難波店は、福嶋聡(あきら)店長が近著の「書店と民主主義」で紹介した本を集めて棚を設けている。「嫌韓嫌中」本の出版に問題意識を持ち、ヘイト本を考えるフェアを開いたこともある。

     ブックフェアを巡っては、自由と民主主義をテーマにフェアを開いたMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店が、偏向していると批判され、一時撤去する出来事があった。

     福嶋さんは「抗議はフェアに存在感がある証しとも言える。議論して率直に意見を言えばいい」と話す。

     最近増えている読者と本、著者、編集者らをつなぐトークショーも、街の書店の強みだろう。

     中小書店は大手にも増して厳しい経営環境に置かれている。

     中小書店の全国組織、日本書店商業組合連合会(日書連)が組合員4015人を対象に行った調査によると、ここ数年間の経営状態が「悪くなった」との回答は85%にのぼる。悪化の原因としては、「客数・客単価の減少」「雑誌の低迷」「ネット書店」を挙げた人が多い。

     出版取次大手の日本出版販売(日販)の2015年度決算は、32年ぶりに書籍の売上高が雑誌を上回った。「雑高書低」と言われた時代は終わりつつある。

     今後の取り組みとして、中小書店は地域密着化や外商強化に意欲を見せている。書店活性化の成功例にならい、出版界全体で生き残りの知恵を絞らなければならない。

     街の書店は、地域文化の担い手でもある。スマートフォンのゲームは楽しいけれど、この夏、書店にも足を運んでもらいたい。

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