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吃音

苦しみ深く…社会の理解不可欠 アンケート記述欄

「死ぬことも考えました」と告白するアンケートの自由記述欄

 「吃音(きつおん)のせいで人生の歯車が狂った」「しゃべらないで済む職業を考えた」。全国の吃音当事者を対象に毎日新聞が実施したアンケートの自由記述欄には、当事者の苦しみが切々とつづられていた。そこからは、吃音に対する社会の理解を深め、当事者をさまざまなかたちで支援していくことの必要性が浮かび上がる。

     「どもりさんが発表しているんか」

     60代の行政書士の男性は小学2年の時、かけ算の九九の練習で言葉に詰まりながら発表していると、担任教師から笑いを誘うような雰囲気でそう言われたという。アンケートで「屈辱感でいっぱいであった」と振り返る。

     言葉を発するようになって間もない2歳の時から吃音を抱え続けているという20代の無職男性は、症状が原因で幼稚園から中学校まで同級生らから殴る蹴るの暴力を受けたと明かす。「教師も注意せずに見て見ぬふりをしていた。吃音を患っている多くの人々が苦しんでいることを考えてほしい」と訴えた。

     40代の非正規社員の男性は、電話口で会社名を言えず、勤め先を辞めた。自殺を考えたこともあり、今は心療内科に通院している。「人生の歯車が吃音という障害が原因で大きく狂ってしまった」と苦しみを吐露した。

     現在、吃音は努力で完治する「癖」ではなく、脳の機能障害が原因だとする学説が有力だ。だが「治す努力」を求められたことに苦しんだ経験を持つ人もいる。

     20代の女性は、会社の新人研修で行われたプレゼンテーションの練習で吃音の症状が出てしまい、最低評価を付けられた。全員の前で再度プレゼンをしたがうまくいかず、「治せないのか」と指摘されたことがつらかったという。

     40代の男性会社員は「高校生の私が進路選択を考えていた時、しゃべらないで済む職業を考え、自分自身で可能性をどんどん潰していったことを後悔している」と告白。若い吃音者たちに「自身の可能性を諦めないで」と呼びかけた。【遠藤大志】


    アンケートの自由記述

    ・吃音が出ると顔面がけいれんするためマスクや手で隠していた。人との距離感が分からず、成人後に困った。吃音のない状態で生まれ変わりたいと思った。 アルバイト・女性(39)

    ・人と話すことを避け続けた子ども時代。どもりやすい言葉を言い換えや前置きなどで避けるため話の内容が回りくどくなり、さまざまな誤解を招いてしまう。 福岡県・看護師・男性(33)

    ・職場の会議で症状が出た際、課長から遠回しであったが、以後なるべく発言を控える旨の指示を受けた。 埼玉県・公務員・男性(43)

    ・出勤時にあいさつの言葉が出るか心臓がバクバクし、精神を摩耗する。言葉を出すのがつらく、誰ともしゃべりたくない。飲み会では全然言葉が出ない。仕事はやるからずっと黙っていても許容してほしい。 岩手県・無職・男性(26)

    ・学生時代は友人にからかわれたり、まねされたりした。すごく嫌で、自殺も考えた。もし吃音がなかったら歌手になりたいと思っていた時期もあった。薬局に勤めたが吃音があるためクビにされた。 埼玉県・無職・女性(21)

    ・吃音は劣ったもの、恥ずかしいものと思っていた。中学生のころにすごく意識し始め、いじめが原因で不登校になってしまった。大人になっても困難なことがあると逃げ出す癖がつき、対人恐怖症にもなった。 無職・男性(60)

    ・入社当時から言葉が出ず、上司や同僚から嫌な顔をされ、頭が悪いというイメージがついてしまい、叱責や無視をされる日々が続いた。転職を繰り返したがいじめが続き、精神疾患で5年ほど通院している。 愛知県・男性(39)

    ・吃音が原因で、高校の英語の授業で3年間全く当てられなかった。(症状改善のため)毎日、声出しなどをしている。宗教法人の修養や吃音サークルでも努力したが10%程度改善したぐらい。生きているのが苦しいが、親より先に死ぬわけにはいかない。 無職・50代男性

    ・就職試験の面接などで自分をコントロールできず、話せなくなってしまう。吃音のことを知っている人と面接したい。大人になれば治ると思っていたが、大人に近づくほど吃音のことで頭がいっぱいになってしまった。 学生・男性(21)

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