メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

サンデー毎日発

有名77大学 人気342社就職実績 17年卒は採用数が大幅増 求人倍率以上に動き活発

 大学生の就活環境が好転し、高就職率の大学が増えているが、そうなると就職先にも注目したくなる。日本を代表する有名企業に強い大学はどこなのか。就活がほぼ収束した2017年卒業見込み者の状況とともに、就職力のある大学を検証してみた。

     近年の大学生の就職状況の好調さは、有名企業への就職状況からも分かる。「有名企業400社の実就職率の推移」を見ると、大半の大学が前年の就職率を上回っているのだ。この背景にあるのは企業の旺盛な採用意欲だが、それでも大企業など有名企業のハードルは高い。就活で成功する学生の条件について、リクルートキャリア就職みらい研究所所長の岡崎仁美さんに聞いてみた。

    「当研究所の調べによると、採用基準で重視する項目として、『人柄』『自社/その企業への熱意』『今後の可能性』の三つを挙げる企業がとりわけ多くなっています。こうした条件を満たしている学生は、就活で成功する可能性が高いといえます」

     企業が学生に求める3項目のうち、「今後の可能性」は能力と意欲の総合判断だという。さらに有名企業から内定を獲得するために求められる要件について、日本生産性本部就業力センター長、夏目孝吉さんは、こう話す。

    「有名企業の就活は付け焼き刃的なテクニックで対応できるものではなく、論理的で明快な考え方や批判精神など、もともと持っている“地頭(じあたま)”の良さが求められています。そうした学生は数多くいるわけではないので、企業が集中するのです」

     つまり、地頭が良く今後の可能性を感じさせる、総合力が高い学生の多い大学が有名企業に強いということだ。

     そうした視点から、改めて有名企業400社への就職率ランキングを見ると、難関大で占められていることもうなずける。この就職率ランキングのメンバーはほぼ固定されており、一橋大、東京工業大、慶應義塾大といった今春のベスト3は、昨年と同じ。トップの一橋大は、就職者総数が833人と、規模の小ささで優位性がある。それでも、三菱東京UFJ銀行や三井物産など、金融や商社を中心に、卒業生の6割以上が有名企業に就職するのは大変なことだ。2位の東京工業大も就職者総数が1466人と少ないアドバンテージがあり、常にランキングの上位に入っている。

     大規模総合大学で就職率が高いのは、3位の慶應義塾大。今春の就職者総数が5703人と多いにもかかわらず、みずほFG174人、三井住友銀行114人など、半数近い46・6%が有名企業に就職している。慶應義塾大以上に就職者数が多い早稲田大も健闘しており、今春は電気通信大と入れ替わって4位になった。

    ◇大学指定のセミナーで優秀な学生を確保

     前述の通り、ランキング中の大学は就職率が上がっている大学が大半で、2ポイント以上アップした大学が13校あった。中には、横浜国立大(5・1ポイント増)や芝浦工業大(4・5ポイント増)のように、大幅に伸びた大学もあり、就職率が30%を超える大学は、昨年の11校から15校に増えた。

     こうした有名企業に強い大学に追い風が吹いていることも、就職率アップの要因になっている。文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子さんは、最近の採用活動の特徴について、このように説明する。

    「自社への就職実績が高い大学の学生を一定数確保するため、難関大を中心に大学を指定してセミナーを行う企業が増えました。リクルーターを活用して、選考開始まで学生をつなぎとめようとする動きも見られます。こうした傾向は17年卒の学生に対してより強まっています」

     日本生産性本部の夏目さんも、こう話す。

    「確かに、難関大の優秀な学生を獲得するために、企業は積極的な採用活動を展開しています。待っているだけではなかなか集まらないので、企業側から学生にアプローチをするケースも増えているようです」

     このような採用活動をするのは、学生の人気が高い有名企業に多い。そうした企業に強い大学の就活のスタートラインは、一般的な大学より前に引かれているといえそうだ。

     さて、ここまで16年卒の学生の就職状況を見てきたが、今年就活を行っている17年3月卒業見込みの学生にとっては、有名企業の敷居がさらに下がりそうだ。リクルートの岡崎さんは言う。

    「17年卒の学生に対する求人倍率は1・74倍で、前年の1・73倍とほぼ同じですが、これは採用予定数によって算出した数値です。昨年の採用予定数に対する充足率が芳しくなく、17年卒の採用予定数を16年卒の採用実績数と比較すると、16・2%と大幅増です。企業マインドとしては、前年実績をベースに当年の採用難易度を見極めるのが一般的なので、17年卒の採用活動は、求人倍率の伸び以上に活発化しました」

     そうした中、懸念されるのは、企業の採用意欲は旺盛でも面接などの選考開始が8月から6月へと前倒しされた圧縮スケジュールになったこと。そうした状況の変化は、就活にどのような影響を与えたのか。マイナビ編集長の吉本隆男さんに聞いてみた。

    「選考開始が8月から6月へと短期決戦になったため、3月までの準備が明暗を分けました。業界や企業で、自分をどのように生かせるのかを具体的にイメージして、しかるべき準備をしてきた学生は、結果を残しています」

     スケジュール変更があっても、混乱が少なかったのは、16年卒の学生の就活状況を見て、企業がどう動くのか読めていたことも大きいようだ。就職情報研究所の平野さんは言う。

    「1年上の先輩の就活を見て、6月に面接などの選考を開始するのは、経団連加盟企業が守るルールだと分かっています。17年卒の学生は3月に就活をスタートして、早期に選考を開始する企業から大手企業までを視野に入れて就活をしました。指針の影響力がより低下したと感じています」

     スケジュール変更の影響があるとすれば、内定した企業に本当に就職してよいのかと悩む、「内定ブルー」に陥る学生の増加。

    「広報活動の解禁から選考開始までの日数が短かったため、説明会の参加やエントリーシートの作成に時間を取られ、十分な業界や企業研究ができなかった学生が多いようです。視野を広く活動できなかったため、6月に内定が出てからも不安を感じる学生が少なくありません」(マイナビの吉本さん)

     内定をもらってから悩む学生はいても、就職先は決まっており、17年卒の学生の就活状況も好調に推移しているようだ。恵まれた就活環境に加え、企業からのアプローチもある、来春も表中の大学の多くが、有名企業の就職者数を伸ばすことになりそうだ。【大学通信・井沢 秀】

    *週刊「サンデー毎日」2016年8月7日号より転載。有名77大学人気342社への就職実績に関しては、実際の誌面で確認してください。

    おすすめ記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 埼玉・川口の小学校でクルド人いじめ深刻 支援者「特別視せず平等に対応を」 
    2. イヌサフラン誤って食べた男性が死亡 群馬・渋川
    3. 九州新幹線にミッキーデザイン登場 5月17日から半年の期間限定
    4. 漫画で解説 クルド人ってどんな人たち?の巻
    5. 特集ワイド ヘイト本作った理由、依頼を何でも受けた 読み手見え、自責の念

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです