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自動運転の武装軍用車、実戦配備を開始

パレスチナ自治区ガザ地区との境界に実戦配備された完全自動(フルオート)運転システム搭載のイスラエル軍用車両「ボーダー・プロテクター」=イスラエル南部の軍基地で2016年6月21日、大治朋子撮影

本格配備は「世界初」 7月にガザ地区との境界に導入

 【エルサレム大治朋子】イスラエル軍は毎日新聞の取材に、無人の完全自動(フルオート)運転軍用車の実戦配備を開始したことを明らかにした。人工知能(AI)による自動運転軍用車の本格配備は「世界初」(イスラエル軍)で、7月中旬からパレスチナ自治区ガザ地区との境界に導入した。今後、機関銃など兵器を搭載してレバノンやシリア、ヨルダン、エジプトなど周辺アラブ諸国との境界に順次、配備する。将来的には兵士とロボット車両の混成戦闘部隊の組織を目指す。兵器は現状では遠隔操作だが、製造業者は「技術的に武器の自動化は既に可能な状態」としている。

     完全自動運転車の実戦配備開始を軍が内外メディアに認めたのは初めて。米軍は2011年の陸上無人システム計画で「完全自動化」を最終目標に掲げたが、配備に至っていない。民間用は、日本政府が東京オリンピック開催の20年ごろに準自動(必要に応じて人間が運転)車両の実用化、25年をめどに完全自動の市場化を目指す。米国ではフォード・モーターが21年までに乗用車の完全自動走行を実用化する計画だ。市街地走行の民間用と異なり、軍用は非舗装のオフロード走行を想定。障害物や爆弾などへの多様な対応が求められ、特殊な課題が多い。

     イスラエル軍は08年、ガザ地区との境界(約60キロ)監視のため、準自動の軍用車を世界で初めて実戦配備。付近はイスラム原理主義組織ハマス戦闘員にイスラエル兵が殺害されたケースもある地域で、兵士の命を守るため、完全自動化を目指してきた。

     軍用車「ボーダー・プロテクター」に完全自動運転システムを搭載し、試験運転を終え、今年7月中旬に配備を開始した。配備台数は非公開。準自動時代も無人で、事前に記録したルートを自動で走行。ただ、障害物に遭遇すると手動に切り替えるなどの手間もあり、2人の操縦者が必要だった。だが、完全自動は障害物回避機能がある。このシステムを収めた「運転キット」はどんな車両にも取り付けが可能で、将来的には、最初に警備内容の指示だけ出せば1人でも複数台を運用できるようになることを目指す。車両が捉えたデータは陸海空軍の有人・無人システムで同時共有される。

     イスラエル軍ロボット開発部門トップのアミル・シュポンド中佐は「1、2年前までは、完全自動のロボットの大部隊を20〜30年後の目標に掲げていたが、現在は各大隊にロボット(車両)数台を組み込む体制を目指している。ロボットは人間の司令官の配下に置くべきだと判断した」と話した。戦時の進攻時に兵士の前方を走り、「盾」となってルートの安全を確保するほか、情報収集や兵たん支援、兵士援護のための攻撃などを任せる方針という。

     AIを活用した軍用ロボットの開発競争は世界規模で拡大する流れにあり、イスラエルのほか、米国、ロシア、中国もロボット部隊の創設などを視野に入れた技術開発に力を入れ始めている。

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