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余録

「台風銀座」という言葉をあまり耳にしなくなった…

 「台風銀座」という言葉をあまり耳にしなくなった。台風の通り道にあたる九州・沖縄、四国などの太平洋岸を指してきた。しかし、過去の例と異なる動きをする台風が近年増え、あてはまりにくくなっている▲台風の観測地点として有名な和歌山県串本町潮岬(しおのみさき)では、かつて2階建て住宅が建って話題になるほどだった。暴風に襲われかねない地だけに「家は平屋建て」が慣習だった。だが、台風の接近が減って、住民の意識も変わったようだ▲この夏の台風銀座は北海道かもしれない。7、11、9号がかつての「銀座」にはかすりもせず、わずか1週間に相次いで上陸した。かつてないことだ。道内に大きな被害をもたらし、特産のタマネギや小豆などへの影響が心配されている▲そして、さらにおかしな動きをする10号が東日本に近づいてきた。八丈島付近で生まれた後、南下し停滞、反転して北上した末の接近だ。「史上初」と「半世紀ぶり」の枕ことばも持つ。東北の太平洋岸に直接上陸すれば、統計を取り始めた1951年以来初めて。また、1カ月に四つの台風が日本に上陸するのは62年8月以来だという▲東北の海岸線は、東日本大震災によって地盤が沈下し、高潮の被害を受けやすい。潮位が上がる新月にも近い時期だ。再建が軌道に乗り始めたと言われる水産業の関連施設への影響が気にかかる。実りの季節を迎えつつある田んぼも大丈夫だろうか▲複雑な動きを見せる台風10号は強い勢力を保ったままだ。大げさすぎるくらいの備えが欠かせないだろう。去ってみればたいした被害もなかった、と胸をなでおろしたい。

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