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社説

日中の危機管理 今度こそ合意を確実に

 沖縄県・尖閣諸島周辺海域で繰り返される軍事的な緊張は、偶発的な衝突につながるおそれがある。きのう安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が会談し、不測の事態を回避するための「海空連絡メカニズム」に向けた日中防衛当局間の協議を加速することで一致した。

     両首脳が運用開始に向けて合意した2014年11月から2年近くになる。東シナ海を「平和の海」にすると言うなら日中双方が責任を持って今度こそ合意を確実にすべきだ。

     東シナ海の緊張は続いている。中国海軍艦艇が砲撃に先立って実施する火器管制レーダーを海上自衛隊護衛艦に照射したり、鹿児島県の口永良部島沖の領海を通過したりした。

     中国機の接近に対抗する航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)回数はこの5年間で急増し昨年度は571回に達した。2年前には中国軍機が自衛隊機に異常接近している。

     8月には尖閣周辺で中国公船が領海や接続水域への侵入を繰り返し、海上保安庁の巡視船が警告した。中国の挑発的な行動は間欠泉のように噴き出してはやむの連続だ。

     安倍首相はこうした挑発行動が認められないという立場を「率直かつ明確」に習主席に伝えたという。

     連絡メカニズムの協議の停滞をもたらしてきたのは、中国の南シナ海進出などを巡る日中の政治対立である。しかし、政治対立があるからといって危機管理を協議しなければ日中は常に危うい状態にあり続ける。もう先延ばしすることはできない。

     連絡メカニズムによって、両国の艦船や航空機間の通信や高官間のホットライン(直通電話)での会話を通じ意思疎通ができるようになる。不測の事態を避ける最善の方法だ。

     もちろん課題はある。連絡体制は軍事ルールで、中国公船と海上保安庁の連絡は対象外だ。相手への挑発や意図の読み違いが予期せぬ衝突に発展する危険性は否定できない。

     今回の首脳会談は事前の調整に時間がかかり、中国がホスト役の主要20カ国・地域(G20)首脳会議閉会後となった。日中間のわだかまりが色濃く反映された結果だろう。

     中国を取り巻く国際環境は変化している。南シナ海での活動には欧州からも批判が強まり、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は南シナ海での権益主張を退けた。中国には国際社会の批判をかわす必要もあろう。

     会談で両首脳は課題解決に向け、「さまざまなレベルで対話を継続していく」ことで合意した。連絡メカニズムには重層的な協議の枠組みがあり、信頼関係を構築する土台として活用できる。日中が危機回避だけではなく、幅広い協力に取り組む助けになるはずだ。

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