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社説

G20と経済 世界貿易拡大へ行動を

 世界経済の成長鈍化が心配される中、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が中国の古都、杭州で開かれた。

     首脳宣言は、世界経済を力強い成長軌道に戻すため、各国が財政・金融政策、さらに構造改革の全てを動員する、との意思を表明した。各国とも財政・金融面では、すでに相当な刺激策を重ねてきており、今後は構造改革に軸足を移す必要がある。

     だが最も警戒すべきは、世界的に拡大の兆しがある保護貿易主義や反グローバリズムの動きだろう。G20は、世界経済の成長を促すためにも、貿易自由化への努力を再加速しなければならない。同時に、反グローバル化の根底にある経済格差への不満、不公平感に正面から向き合うことが重要だ。各国の経済が内向きになるようでは、せっかくの構造改革の果実も十分得られない。

     世界貿易機関(WTO)によれば、世界のモノの貿易量の年間伸び率は今年、5年連続で3%を下回る見通しという。1990年以降の平均、5%より低い状態が続いている。

     障壁となっている関税や規制、手続きを一段と取り除くべき時だが、現実は、自由化よりむしろ保護主義に傾いているように映る。

     米国では共和党大統領候補のトランプ氏がグローバリズムへの攻撃を続けているが、民主党のクリントン候補も、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対の意向だ。米国と欧州連合(EU)による大西洋版TPPもゴールが展望できない。

     一方、英国のEU離脱は一段と世界貿易を鈍化させる恐れがある。百数十カ国が参加するWTOの自由化交渉は、何年も頓挫したままだ。

     首脳宣言で保護主義反対を唱えるだけでなく、貿易や投資の自由化に政治主導で弾みをつけてほしい。

     しかし、それだけでは足りない。人々のグローバル化への不信感を取り除く努力が不可欠だ。大国、大企業、富裕層など強者のみが得をするといった観念が根強ければ、新たな自由化など望めないだろう。

     モノ、カネ、人の自由な往来は、本来、成長を促し、格差の是正に役立つものだ。世界第2位の経済大国へと急成長した今回の議長国、中国が何より自由貿易の恩恵の証しだ。

     その中国は、世界貿易体制の発展のため、大国の地位にふさわしい責務を負う。G20では、中国が作りすぎた鉄鋼製品を輸出し国際価格を低下させている問題が取り上げられた。他国から不公正と非難される行為は慎むべきだ。

     だが、中国批判ばかりで終わってはならない。外国製品や外国人の排除を扇動する勢力に対抗するには貿易や投資の自由化で主要国の指導者が結束するしかないのである。

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