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ドキュメンタリー映画

チベット難民の望郷、映像で 柳田・テンジンさん夫妻、上映会 /長野

「死ぬ前にもう一度、土を踏みたい」

 故郷に焦がれるチベット難民の心を描いたドキュメンタリー「ブリンギング・チベット・ホーム〜故郷を引き寄せて〜」が今月、長野と東京で公開される。日本語への翻訳から字幕製作、上映会開催まで、独力で奔走したのは松本市横田の柳田祥子さん(35)と夫でチベット出身のゲニェン・テンジンさん(33)。米在住のテンジン・ツェテン・チョクレイ監督(38)を招き、長野市で11日、松本市で17日に上映する。【藤田祐子】

     映画は、テンジン監督の幼なじみで米ニューヨーク在住の現代アーティスト、テンジン・リグドルさん(34)が2011年に1年5カ月かけて実現したアート・プロジェクトに密着。リグドルさんの父は「死ぬ前にもう一度、故郷チベットの土を踏みたい」と望みながら異境で亡くなった。父の遺志は民族の悲願でもあると痛感したリグドルさんは、チベットの土をインドの難民居住区に運び、故郷とは何かを表現しようとする。

     劇中の音楽を担当したオーストラリア在住のチベット人ミュージシャン、テンジン・チョーギャルさん(43)が今年4月、ブリスベンで開いたイベントで作品を紹介。柳田さんはそこで観賞し、「日本で上映したい」と心に決めたという。

     柳田さんは兵庫県生まれ。10代の頃からチベット文化にひかれ、ダライ・ラマ14世の住まいがあるインド北部のダラムサラなどに長期滞在。2005年にゲニェンさんと出会った。帰国後、ゲニェンさんの信州大進学を機に松本市に移住。チベットの歌、踊り、祈り、食などの文化を体感できる機会をつくりたいと昨年9月、1泊2日の野外フェスティバルを開催した。「次回のフェスで、日本人とチベット人で一緒にこの作品を見たい」

     映画は、チベットの土をネパール経由でインドへ送るプロジェクトが直面する数々の困難を描く。政治的行為と疑われれば中国当局に逮捕される恐れもある。恐怖の中で、土が複数の国境を越える行程は、自由を求めるチベット人が命を賭して亡命する道程に重なる。

     運ばれた土を踏みしめる、祖国を見たことのない子供たち。50年前に後にした古里を思い涙する老人。柳田さんには映画のすべてのシーンが、ゲニェンさんの思いや友人たちの境遇と二重写しになったという。

     テンジン監督から上映許可を得た柳田さんは、英語が得意な友人の助けを受け英語字幕を日本語に翻訳。作品内の会話は多くがチベット語のため、訳した日本語が実際のニュアンスと異なっていないかどうか、ゲニェンさんと2人でチェックした。デジタル映像に日本語字幕を加える作業も、パソコンのソフトで孤軍奮闘した。柳田さんは「映画を通じ、現状や思いをより身近に感じてほしい」としている。

    長野で11日、松本で17日

     県内での上映はいずれも、テンジン監督のトークや質疑応答とチョーギャルさんのミニライブつき。長野市では11日午後2時半から、同市権堂町の長野権堂パブリックスペースOPEN屋敷2階「トリノコ」で。当日2500(前売り2000)円。予約、問い合わせは青木さん(090・4951・0018)。

     松本市では、同市入山辺の桜清水コテージで17〜19日に開催される「キキソソチベットまつりvol.2」内で17日午後8時半から上映する。まつり参加費は1日3500(事前予約3000)円▽2、3日5500(同5000)円で、映画観賞は参加費に含まれる。まつりでは映画のほか、チベット歌劇の披露や輪踊り体験、五体投地ワークショップ、チベット医学講座などのプログラムも。テント泊は別途1泊500円(予約不要、当日先着順)。問い合わせは柳田さん(080・6144・7203)。

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