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北海道産野菜ピンチ 畑は冠水、食品工場は浸水

台風10号の影響で水がたまり、収穫できずにいるジャガイモ畑で行われる水抜き作業=北海道芽室町で2016年9月7日、日下部元美撮影

 北海道では先月相次いだ台風の上陸や接近に伴う記録的な大雨の影響で、ジャガイモやタマネギなどの農産物に大きな被害が出ている。8日現在で被害面積は2万4405ヘクタールに上り、過去10年の水害では最悪となる見通しだ。国内生産で大きな割合を占める産品も多く、首都圏などの市場に価格高騰の余波が及んでいる。【日下部元美、山田泰雄、寺田剛】

 8月末、台風10号の接近で川が氾濫した十勝地方の芽室町。畑はまだ水につかり、異臭が漂う。「根や作物の腐敗臭だよ」。農家の小沢昌記さん(57)は漏らした。約50ヘクタールでジャガイモやビート、スイートコーンなどを育てているが、大半が冠水した。ジャガイモは8月下旬から収穫し9月上旬には終える予定だった。「今年は予定の半分を出荷できればいい方だ」。小沢さんは表情を曇らせた。

 農林水産省によると、2014年の北海道のジャガイモ収穫量は192万トンで全国の約8割を占め、ポテトチップスなどの菓子メーカーは対応に追われる。カルビーによると、15年に国内調達したジャガイモの約70%が道内産でポテトチップスなど四つの新商品の発売を延期した。「コイケヤ」ブランドを展開する湖池屋は、生産を委託する南富良野町の工場が浸水被害で8月末から操業を停止。再開のめどはたっていないという。

 全国の約6割を占める道産タマネギにも影響は及ぶ。「大丈夫そうに見えるけど、ほら」。冠水被害を受けた北見市常呂町日吉地区のタマネギ畑。鈴木淳さん(46)がタマネギを踏むと、容易に割れた。見た目は普通でも中が腐っていたのだ。

 北見市の品種は貯蔵に向いており、毎年8月から翌年4月に長期間、全国へ出荷する。14ヘクタールある鈴木さんのタマネギ畑では今月中旬から出荷予定だったが、ほとんど冠水し、「せめて来年の肥料にと、畑にすき込むしかない」と肩を落とす。

 大雨でJRの線路も不通となり、北見からの出荷に利用していたJR石北線の貨物列車「タマネギ列車」が運休。トラックで代替するなど輸送面での影響も出ている。

価格高騰5割高

 「8月中旬に比べ、ジャガイモとニンジンの店頭価格は1.5倍。タマネギは高止まりしていて昨年比で1.5倍です」。東京都内に2店舗を展開するベニースーパー(足立区)幹部はこう話し、肩を落とした。

 相次ぐ台風の影響で例年なら8月中旬ごろから出回る北海道産野菜の出荷が滞り、仕入れ値が上昇。タマネギは春ごろからのカビ流行の影響で品薄感がある中、北海道産入荷への期待が打ち砕かれたという。店頭ではジャガイモやタマネギの小さいサイズを1袋に多めに入れるなど見せ方を工夫している。「品薄感が続けば仕入れ高値が続く可能性がある」と警戒する。

 北海道産の卸売価格は総じて高い。8日の東京市場ではニンジンが1キロ278円で先月22日から2倍強上昇。ジャガイモも1キロ176円と2割強の値上がり。タマネギは今月3日(1キロ166円)をピークに下落基調だが、それでも前年比1・5倍の水準だ。

北海道産野菜の東京市場卸売価格

 価格高騰は長引くか。「時期をずらしたものが収穫されれば価格は安定する」(東京の青果物卸大手)など徐々に収束に向かうとの見方は多い。山本有二農相は9日の閣議後会見で「タマネギは出荷量が回復したので少し待てば価格も安定する」と話した。

 ただ、今後の気象条件が読み切れないほか、JR根室線が寸断するなど物流網停滞の影響も懸念され、「予断を許さない」(市場関係者)との声もある。【寺田剛】

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