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余録

江戸城の大奥には「開かずの間」があった…

 江戸城の大奥には「開かずの間」があった。正史では病死したはずの将軍綱吉(つなよし)が正室に殺された場所だとうわさされた「宇治の間」である。以来使われないのに何度かの改築の際も再建された▲幕末の将軍家慶(いえよし)はこの部屋の前で正体不明の黒紋付きの老女を見た後に他界している。大奥にいた女性が明治になって江戸文化研究家の三田村鳶魚(みたむらえんぎょ)に語った話である。実は不用品の物置になっていた部屋だが、大奥の女性たちに気味悪がられていたことは間違いない▲こちらも気味の悪いことでは引けをとらない開かずの間である。築地市場の移転先となる豊洲市場の建物の地下にぽかんと開いたコンクリート造りの空間はどう使うつもりなのか。床にはえたいの知れぬ水がたまっている。なにか出そうで、陰気なことおびただしい▲以上は共産党東京都議団が公開した写真の印象だが、つまりこの地下空洞、本来なら土壌汚染対策の盛り土で埋められているはずの空間である。小池百合子(こいけゆりこ)都知事の説明によれば、主要な建物の下はすべて専門家会議が求めた盛り土をしていないことが判明したのだ▲都の担当者はコンクリートで汚染物質を遮断でき、地下は建物のメンテナンスに必要と考えたらしい。だが豊洲移転問題を都政改革の焦点に据える小池知事は従来の都の説明の誤りを指弾し、地下空洞化に伴う安全性確認や盛り土変更の経緯の徹底究明を行う構えだ▲民俗学者の宮田(みやた)登(のぼる)によると、「開かずの間」伝説はその土地にこもった怨念(おんねん)によるものが多いという。今は攻める側の都知事にも、決して容易ではない決断を迫るかもしれない土壌の汚染物質である。

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