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安保法成立1年 現実的な議論をもっと

 集団的自衛権の行使などを認めた安全保障関連法が成立してきょうで1年になる。

     この1年だけでも日本を取り巻く国際情勢には大きな変化が見られた。金正恩体制下の北朝鮮は2度も核実験を強行し、ミサイルの発射も繰り返している。台頭を続ける中国は国際仲裁裁判所の判決を無視し、南シナ海で覇権的な姿勢を崩そうとしない。

     一方、米国では共和党大統領候補のトランプ氏が日本を含む同盟国との関係見直しをたびたび口にしてきた。こうした安全保障環境の変化に鈍感であってはならない。だからといって、力には力で対抗する発想は悪循環を招く。

     日本が取るべき道は、憲法9条の制約を踏まえつつ、自衛隊と在日米軍との効果的な連携を追求していくことだろう。その意味で、安保政策の積み重ねから飛び越えた安保法制は、政治的にも、自衛隊の部隊運用の面でも不安定さを残した。

     しかも集団的自衛権をめぐる憲法問題に議論が集中したため、他の重要な論点が手つかずのままになっている。この状態で、近く政府は平時から米軍の艦船などを守る「米艦防護」の訓練に入るという。

     米艦防護は、米側の期待も高く、「同盟強化」の核心をなすと見られている活動だ。米軍が弾道ミサイルの警戒監視や自衛隊との共同訓練、日本の平和や安全に重要な影響を与える「重要影響事態」で輸送・補給をしている時に攻撃を受けた場面が想定されている。

     米艦防護には、米軍が自衛隊と連携して「日本の防衛に資する活動」をしている場合という前提がある。だが、これがどこまでの活動を指すのか必ずしも整理されていない。

     例えば南シナ海で将来、自衛隊と米軍が共同で警戒監視をするような場合に「日本の防衛に資する活動」と言えるのか、はっきりしない。

     米艦防護には、地理的制約もなければ、集団的自衛権のように「武力行使の新3要件」や「国会承認」もない。米軍などの要請があり、防衛相が必要と認めれば実施できる。

     野党は昨年の国会審議で「集団的自衛権の抜け道」と批判した。その後も、運用の方針も基準も示されていない。内閣や国会の関与のあり方も決まっていない。

     基準があいまいなのは、米艦防護だけではない。集団的自衛権の行使を認める存立危機事態も、地球規模で後方支援ができる重要影響事態も、国民にイメージがわかないまま、政府判断にゆだねられる。

     臨時国会で野党はこれらの問題を追及し、政府は丁寧に説明してもらいたい。

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