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余録 キトラ古墳(奈良県明日香村)の石室天井に描かれた…

 キトラ古墳(奈良県明日香村)の石室天井に描かれた「天文図」が初めて一般公開された。350もの金箔(きんぱく)の星、星を朱で結んだ星座群。誰がいつ見た星空なのか。ロマンをかき立てられるが、最近の研究では古代中国で観測された星空という説が有力だそうだ▲中国では日食や流星など天体の変化は現実社会の吉凶を占う「天意」とされ、歴代王朝が天文台を置いて観測技術を向上させた。キトラ古墳に中国の天文知識が反映されているのは自然なことだ▲日食時には皇帝自ら儀式を行い、予測に失敗した役人が処罰されることもあったという。そうした伝統の影響もあるのだろうか。現代中国でも宇宙開発は政治と密接不可分な形で進められている▲「中秋の名月」の今月15日、無人宇宙実験室「天宮2号」が打ち上げられ、中国メディアは「習近平国家主席が宇宙の夢を先頭で指揮」と報じた。一方で、1日に衛星打ち上げに失敗した際、主要メディアの報道はなかった。成否が政権の権威に関わるからだろう▲「天宮2号」には今後、宇宙飛行士が乗り込んで長期滞在する予定だ。2022年には独自の宇宙ステーション完成を目指しており、日米露などが参加する国際宇宙ステーション(ISS)に代わって宇宙の主役となる可能性もある▲中国は国連を通じて国際協力を受け入れる考えを示しているが、米国などは消極的だ。国際基準と異なる中国の政治体質や閉鎖性を敬遠しているのだろう。唐代にはインド人が天文台長となり、観測の指揮を執った歴史もある。より開かれた宇宙開発で再び、知恵の伝達者となる道を目指せないものか。

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