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ハンガリー 自国エゴの連鎖が怖い

 中東などからの難民を分担して受け入れようとする欧州連合(EU)の「割り当て」政策を受け入れるべきか。東欧のハンガリーであす行われる国民投票は、欧州統合の基盤を掘り崩す危険性をはらんでおり、その行方が懸念される。

     英国は今年6月の国民投票でEUからの離脱を決めた。一方、ハンガリーの国民投票は、EUにとどまりながら、EUの政策を「民意」を盾に拒否しようとオルバン政権が画策したものだ。有権者の過半数が投票し、投票者の過半数が「受け入れ拒否」を支持すれば、政権の「勝利」となる。事前の世論調査を見る限りでは、そうなる可能性が高い。

     欧州には昨年、100万人を超える難民が流入した。昨年9月、EUはまず約16万人の難民を各国に割り当てることを決めたが、現段階で受け入れられたのは約5000人にとどまる。ハンガリーなど東欧諸国が割り当てに強く反発していることが受け入れが進まない大きな理由だ。

     第二次世界大戦後、多くの移民や難民を受け入れてきた西欧諸国に対し、冷戦終結後にEUに新規加盟した東欧諸国は難民受け入れの経験が乏しい。昨年は西欧を目指す難民の通過地となり、鉄道駅や道路が難民に一時占拠されるなど社会に大混乱をもたらした。難民の多くがイスラム教徒で、受け入れによってキリスト教に根ざす伝統的な社会の変容を懸念する国民の不安も理解できる。

     とはいえ、ハンガリーなど東欧諸国はEU加盟で経済的に大きな利益を得てきた。加盟から10年以上たちEUの一員として「いいとこ取り」は許されまい。政権には、戦後欧州が目指してきた寛容な社会づくりへ国民を説得する責任があるはずだ。

     ところがオルバン政権は違うようだ。社会の「右傾化」を背景に2010年の総選挙で大勝し、ハンガリー民族の歴史と伝統の偉大さを前文にうたう憲法改正を実現した。今回も難民の脅威を誇張して国民の不安をあおってきた。経済政策の行き詰まりから国民の目をそらし、独裁的な政治手法への批判をかわすために国民投票を政治利用しようとしているのであれば無責任だ。

     ハンガリー国民投票の結果は、他の欧州諸国の反EU極右勢力を勢いづける可能性もある。自国の主張を通すために、法的根拠の乏しい国民投票が各国で乱用されるようになれば、EUの結束は乱れ、難民政策にとどまらず、あらゆる統一政策が立ちゆかなくなる恐れもある。

     EUと加盟各国首脳は、こうした「自国エゴ」の連鎖を食い止めなければならない。ハンガリーには、EUに加盟した当時の理想と気概をもう一度、思い起こしてほしい。

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