森村 誠一・評『金の価値』『東京零年』
独自の作風を変えることで新たな魅力を生み出す作家
◆『金の価値』上田秀人・著(ハルキ文庫/税抜き640円)
◆『東京零年』赤川次郎・著(集英社/税抜き1900円)
本を読むという行為は広範にわたる。「本」には学術や技術や写真、画、詩歌などを含めるが、一般的に本を読むという行為すなわち読書は小説が主体となる。小説によって人生を学び、大きな楽しみを与えられるのである。
読書は娯楽だけの狭いものではない。時間、空間的にどこにも入り込めるし、ファンタジーやSF、歴史、時…
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