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余録

「バスに乗り遅れるな」と破滅への…

 「バスに乗り遅れるな」と破滅へのバスに飛び乗ったのが戦前の日本である。日独伊三国同盟のことで、ヒトラーの独軍が欧州を席巻(せっけん)した勢いに幻惑され、交渉開始からわずか20日間で調印された▲勝ち馬に乗り遅れるなという意味のこの言葉だが、近年の研究では同盟締結の背景には英仏などを制圧した後のドイツがアジアの植民地を押さえるのをけん制する意図もあった(加藤陽子(かとうようこ)著「戦争まで」朝日出版社)。思惑はどうあれバスは対米戦争へとひた走った▲破滅へのバスに飛び乗ることもあれば、破滅から逃れようというバスに乗り遅れることもある。2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」が来月4日発効する。各国の批(ひ)准(じゅん)状況が協定発効の条件を上回ったからだが、そこに日本の名はない▲この4月に175の国や地域が署名したパリ協定である。すでに米、中、印という温室効果ガスの大排出国は批准書を提出した。欧州連合などが加わった時点で批准国の排出量が全世界の55%を超え、発効が確定した。排出量の多い国で残るのは露、日、韓国という▲その日本では連休明けに協定承認案を閣議決定し、国会に提出するというのんびりぶりである。締約国会議開幕は来月7日に迫っており、批准国の間で行われる最初の議論には参加できそうにない。あわててバスを追いかけても、さて15日の閣僚級会合に間に合うか▲以前の京都議定書では批准を拒否した米国、途上国として排出削減義務のなかった中印も乗り込んだバスの車内に日本の姿がないのを世界はどう見ただろう。で、朝寝坊をしていたのは誰なのか。

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