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熊本地震・ふるさとよ

第4部/7止 心通ずる人がいれば

仮設住宅の縁側に並んで笑顔を浮かべる増永さん(左)と杉浦さん=熊本県益城町で、福岡賢正撮影

 熊本県益城(ましき)町砥川(とがわ)の飯野仮設団地で暮らす杉浦千枝子さん(63)から、玄関横に飾った「くまモン」の壁飾りを大事に思う深い理由を聞かされたのは、9月15日の午後だった。そのくまモンを編んだ増永道子さん(75)に左腕を切断した時のことを詳しく聞こうと訪ねた時に、そばにいた杉浦さんが自ら話を切り出したのだ。

     縁側に座った増永さんの横で洗濯物を取り入れていた杉浦さんが手を休めて、口を開いた。「実は私も、ひと月ばかし入院しとったつよ」。昨秋、乳がんが見つかり、半年間の予備治療の後で切除手術の予定だったが、熊本地震で延期となり、7月20日から入院して「全部とってもろた」という。病院から帰ってくる日に合わせて、増永さんが編んでくれたのがくまモンだった。

     「私が『ただいま』て帰ってきた時、ニコッとするごつ、玄関に掛けとこうと思ったんだって」

     「そるが1日早かったつよ」

     「だけん『明日戻るて思ち、今日編んどったけん』てもろたと」

     2人はそう言って愉快そうに笑いあった。

     病院で地震の話題になり、家が全壊したことを伝える度、2人は看護師や患者仲間から「いつも明るかねえ」と感心される。

     「その時は言うと。『晩に泣きよるもん、1人で』て。手術前とかおそろしくてねえ。自宅ん無かとも心細いし。やっぱ、経験したもんじゃなかと分からん。だけんおばちゃんにはすごく支えてもらっとる」と杉浦さん。

     増永さんが続ける。

     「こん前、病院さん行った時、看護師さんの『増永さーん』て呼びとめち、『どきゃんしとるだろかて、たいーぎゃ心配したよ』て言わすけん、私ゃ言うたと。『片手はなかばってん、逃ぐっときゃ速かけんね』て」

     最後に杉浦さんがこう締めくくった。

     「まあ、生きとっとよかこつもあろ。また新しか家にも入らるっし。だけん言うとよ。『こんだ遊びに来なっせよ。ちいーさか豪邸ば建つっけん。ちいーさか豪邸ば』て」【福岡賢正】=おわり

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