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滋賀・稲部遺跡

大規模な鉄器工房遺構 「邪馬台国」時代

3世紀前半の巨大集落が見つかった稲部遺跡=本社ヘリから加古信志撮影

「日本の国の成り立ちを考えるうえで貴重」 彦根市教委発表

 滋賀県彦根市教委は17日、市内の「稲部(いなべ)遺跡」(同市稲部、彦富両町)で弥生時代終末から古墳時代初め(3世紀前半)の鉄器工房群の遺構が見つかったと発表した。同時代では他にない規模という。大規模な建物の跡も確認された。当時、鉄製品の原料は大陸からの調達に頼っており、同時代の邪馬台国について記した中国の史書「魏志倭人伝」で、大陸と交易があったとされる「三十国」のうちの一つともみられるという。

 鉄器工房は30棟以上ある竪穴建物群で、各棟は一辺3.5〜5.3メートルの方形。うち23棟の床面から鉄片や鉄塊が見つかった。一部に土なども含んだ状態だが、全体の重さは計約6キロに上るという。同時に鍛冶や鉄を加工する際に使ったと思われる台石や、鉄製矢尻2個なども見つかった。国内には当時、製鉄技術がなく、鉄の延べ板を朝鮮半島から取り寄せ、武器や農具、工具を造っていたと考えられる。

 一方、鉄器製造が始まった直後に大型の建物が現れた他、鉄器製造が終了した3世紀後半には、一辺十数メートル規模の大型の建物2棟が相次ぎ出現。首長の居館や巨大な倉庫として利用され、他の国との物流拠点だった可能性があるとしている。邪馬台国畿内説の有力候補地とされる纒向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)では、より大規模な同時代の建物跡が確認されている。

 「魏志倭人伝」では、倭人は現在の韓国・ソウル辺りにあった帯方郡の東南の大海の中にいて、もとは「百余国」あったが、同書が書かれた3世紀には「使訳(使者や言葉)通ずる所三十国」と伝えている。福永伸哉・大阪大教授(日本考古学)は「稲部遺跡は東西日本の結節点にあり、近江勢力の大きさを物語ると共に日本の国の成り立ちを考えるうえで貴重」と話す。

 現地説明会は22日午後1時半〜午後3時。小雨決行。【西村浩一】

稲部遺跡

 滋賀県彦根市南部の田園地帯にあり、弥生時代から古墳時代(2〜4世紀)を中心とする大規模集落遺跡。総面積は約20万平方メートルと推定される。宅地造成工事による1981年の調査に始まり、2013年からの市道改良工事に伴う調査では竪穴建物180棟以上、大型建物、鉄や青銅の金属器工房などを確認した。稲部遺跡が最も栄えた時代は、中国の歴史書「魏志倭人伝」に出てくる邪馬台国時代と重なる。

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