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連載小説 ストロベリーライフ

/6 肝心な時にいないヒト 作・荻原浩 題字・画、佃二葉

=画、佃二葉

 祖父の代から米がメインだった作物を、親父がトマトに代えたのは、恵介(けいすけ)が高校二年の時だった。

「減反、減反で米はもうだめだ。ちっとも儲(もう)からねぇ。野菜は金になるが体がえらい。だけんど、トマトは楽だぞ。よぶんな肥料や水をやらにゃあほうが味が良くなるつぅ話だ。孝行息子だな」

 そう言って、田んぼを半分手放した金でハウスを建てた。トマトは楽だと言っていたわりには、一日中ハウスに籠もっていることが多くて、ちっとも楽になっている様子はなかったが。

 望月家のトマトは、一月いっぱいで収穫を終える。いまは三月から夏までの他の作物(メロンかスイカかカボ…

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荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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