メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

この世は大衆の知らぬ何者かの秘密の策謀によって…

 この世は大衆の知らぬ何者かの秘密の策謀によって操られているという考え方は「陰謀理論」「陰謀史観」などと呼ばれる。英語の「コンスピラシー・セオリー」だが、その謎の勢力は国際秘密結社だったり外国情報機関だったりする▲米国でよく話題になる陰謀理論は、9・11事件に政府が関与していたとの説や、ケネディ大統領暗殺の政府機関黒幕説、政府がUFOや宇宙人を隠しているとの説、アポロ月面着陸映像の作り物説などなど。つまり大方は連邦政府が陰謀の“主役”というのがみそだ▲何しろ米国民の1割がアポロの偽映像説を本当と信じ、9・11への政府の関与に疑念をもつ人の割合はさらに多いといわれる。陰謀説の蔓延(まんえん)の背景にはワシントンへの草の根の不信があろう。ならばこの人が折にふれ陰謀理論めいた物言いを多用するのも当然だろう▲むろん共和党大統領候補トランプ氏である。それにしても驚いたのは、ここにきて自らが戦う選挙そのものが不正操作されているという「陰謀」の暴露に打って出たことだ。テレビ討論会では投票結果受け入れの表明も避けたから、これはもう民主主義の否定である▲背景にはますます濃くなる敗色があるのはいうまでもない。陰謀理論は「政治的敗者によって考案され、社会的弱者によって支持され」るとは英ジャーナリストのアーロノビッチ氏の指摘という。だが敗北を先取りしての選挙の不正糾(きゅう)弾(だん)は陰謀理論の新機軸であろう▲人々の不満をたっぷり吸い込んだ陰謀理論の横行が示す米国社会の深い亀裂である。次期大統領にはせめてその修復をめざす人物になってもらわねばならない。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 西日本豪雨 し尿処理できず「水や食事我慢」 愛媛・大洲
    2. ケンタッキー フライドチキン食べ放題 20日から
    3. ロシアW杯 決勝に水を差す愚行 男女4人が乱入
    4. プラスチック危機 海流入、50年までに魚の総重量超え?
    5. プラスチック危機 つながる海、牙むくゴミ(その1) クジラの体内から29キロ

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]