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余録 目を閉じ、点字ブロックの上に立ってみる…

 目を閉じ、点字ブロックの上に立ってみる。東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームは狭い。電車が近づき、ごう音が壁に反響してあちこちから聞こえる。方向感覚がなくなり、どちらが線路なのか分からなくなる。足がすくみ、思わず目を開けた▲この駅で8月に盲導犬と歩いていた男性(55)がホームから線路に転落し、電車にはねられ死亡した。先週、大阪府柏原(かしわら)市の近鉄大阪線でも視覚障害者の男性(40)が亡くなっている。なぜ事故は繰り返されるのか▲40年以上前、山手線の高田馬場駅で転落死亡事故があった。遺族が起こした裁判を機にホームの点字ブロックが普及する。だがその後も同様の事故は続く。日本点字図書館理事長の田中徹二(たなかてつじ)さんは、やりきれない思いで「改善しなければ再び起こる」と新聞に投稿した。ホームドアの設置がようやく進み始めた▲田中さんの著書「不可能を可能に」に、JR山手線を利用する時に大きな駅では降りない人の話が出てくる。わざわざ一駅先まで行く。大きな駅では別のホームまで移動しなければならないが、次の小さな駅なら同じホームの反対側から乗れるからだ。「視覚障害者はこんな工夫を毎日のようにしています」。見えない人の苦労を見える人はどれほど感じられているのか▲命が犠牲になってから対策が少し進む。その繰り返しはあまりにもどかしい。ホームドアの設置を急がねばならない。そして手を差し伸べる人がいれば安心のよりどころになる▲メトロの駅でも白杖(はくじょう)の人に声をかけ、誘導している人を見かける。そんな光景が増えている気がする。ためらわずに、さりげなく。

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