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Listening <国会の情報監視審査会>特定秘密のチェック、問われる存在意義

衆院の情報監視審査会の内容を説明する額賀福志郎会長(右から2人目)と与野党議員=東京都千代田区で17日

 特定秘密の運用を常時チェックする役割を担う国会の情報監視審査会が2年目に入って、存在感を発揮できていない。国会閉会中の夏の間に開けず、4カ月以上の空白を経て動き出したが、まだ特定秘密を直接見るなど具体的な審査活動に入れていない。来年3月の年次報告書提出までの時間は少ない。【青島顕、遠藤拓】

    衆院

     衆院の情報監視審査会は今月14日、5月18日以来の会議を開いた。臨時国会開会後も予算委員会などに委員が取られ、8人の委員の多くが顔をそろえる日程がようやく確保できたようだ。17日にも続いて開いた。

     昨年の政府による秘密指定や解除状況の聞き取りからスタートした。特定秘密を指定している11の行政機関のうち、内閣官房、防衛省など5機関からの説明と質疑を済ませた。外務省や警察庁など6機関は今週以降に説明を受ける。

     秘密会にもかかわらず、昨年の発足当初は政府側が説明を拒む場面が目立ち、会長の額賀福志郎元財務相(自民)は「(公開されている)常任委員会の政府答弁のようだ」と嘆いた。額賀氏は17日の審査会後の記者会見で「だいぶ(よくなった)とは言わないが、昨年と比べればまあ。ただ、人事異動で(説明者が)代わったりすると、身構えているところがある」と依然もどかしいやりとりがある様子をうかがわせた。

     衆院の審査会は今年3月に初の年次報告書を公表した際に、特定秘密のリストにあたる「指定管理簿」の記載を具体的にして、秘密の範囲を限定することや、秘密の含まれる文書数と内容一覧を審査会に提出することなど6項目を政府側に要求しており、審査会の中で政府側に回答を求めている。

     報告書では今後の工程表を示した。安全保障関連法の成立を受けた自衛隊の海外派遣に際して、部隊行動基準の説明を防衛省に求めることなどを掲げている。工程表の達成目標について、額賀氏は17日「政府からの報告が一巡したうえで(できる)中身を考えていく。鋭意、精力的にやりたい」と述べるにとどまった。

    参院

     7月に参院選があった影響もあり、参院の審査会は今国会から半数の4人が入れ替わった。佐藤正久氏(自民)▽石橋通宏氏(民進)▽石川博崇氏(公明)が新任となった。9月26日に会長が交代して中曽根弘文元外相が就任した。昨年3月の発足時からの委員は上月良祐氏(自民)、大野元裕氏(民進)の2人だけになった。秘密会で特定秘密の提示を受け、守秘義務が課せられることもあり、短期間での多数の委員の交代は想定されていなかった事態だ。

     今国会の審査は19日までに3回開いた。3月の報告書で、秘密を指定する際の「公になっていないもの」などの条件を明確にするよう指摘していることを受け、内閣官房などに指定条件が明確になっているかをただした。中曽根会長によると、昨年の政府の秘密指定状況についての具体的な審議に入っていないという。

     両院とも昨年は、政府から特定秘密の提示を受けたが、今年はまだ提示を受けていない。

    守秘義務課す秘密会 衆参8人ずつで構成/指定解除勧告の権限

     情報監視審査会は、衆参両院に置かれた特定秘密の常設のチェック機関だ。自民・公明両党が国会法改正案を提出し、2014年6月に成立したことを受けて設置された。衆参とも議員8人が委員となり、政府から特定秘密保護法の運用について報告を受け、必要な場合には特定秘密の提出を求めたり、指定が不適切だと判断すれば解除を勧告したりする権限を持つ。ただ、政府には秘密の提供について拒否権がある。

     会議は原則として「秘密会」で開かれ、議事録を公開しない。電波が届かず、外部に音が漏れない措置が取られた部屋で開く。国会議員は憲法で院内の発言に責任を問われない特権を持つが、委員は例外として守秘義務が課せられている。

     欧米の議会が対外情報機関を監視するために設置している委員会をモデルに作られたが、欧米の機関ほど強い権限はないとされる。衆院の審査会は8〜9月、英米独を視察し、委員会のメンバーらと面会した。渡航した井出庸生氏(民進)は今月19日の内閣委員会で「国会は本来、イラク戦争の検証などをしなければならないが、残念ながらその前の特定秘密の管理、制度(の調査)にとどまっている」と役割の改善を訴えた。官僚らが不正な秘密指定を通報したいと思った時、審査会が内部告発の窓口になることが与党内協議で想定されていたが、今のところ設置の動きはない。

    中身が空、5件解除

     特定秘密は「ミサイル防衛に関し独自に米国政府から提供された情報」「北方領土問題に関する外国政府等との交渉、協力の方針、内容、収集した重要な情報」などと事項ごとに指定され、対応する文書・情報があるとされている。

     政府によると、特定秘密は昨年末時点で11機関の443件が指定され、該当する文書・情報は27万2020点だった。

     ところが今年、中身が空の特定秘密があることが独立公文書管理監の指摘などで明らかになった。8月までに外務省、警察庁、防衛省が計5件の特定秘密を解除した。今月19日の衆院法務委員会では特定秘密担当相を兼ねる金田勝年法相が、5件以外にも空の特定秘密が「若干ある」と認めた。5件以外の空の秘密は解除されていない。内閣官房の岡田隆審議官は「確実に情報の入手が見込まれるものはあらかじめ特定秘密に指定することがやむを得ない場合がある」と説明した。

    監視のあり方考えるべきだ 国会の仕組みに詳しい南部義典・元慶応大講師(憲法)の話

     常時監視をうたう以上、国会閉会中にも審査をすべきだ。4月以降は特定秘密の提示を1回も受けていないし、衆院の審査会が3月に示した工程表に沿った審査も進んでいない。まずは自衛隊の海外派遣を前に、国会として安全保障法制にふさわしい監視のあり方を考えるべきだ。


    情報監視審査会の4月以降の開催・活動

     <衆院> 

     4月20日 外務省に指定のあり方聴取

     5月12日 有識者3人の意見聴取

       18日 岩城光英特定秘密担当相(当時)から聴取

      8〜9月 米英独3国を視察

    10月14日 内閣官房、国家安全保障会議(NSC)から説明聴取

    10月17日 海上保安庁、防衛省、防衛装備庁から説明聴取

     <参院> 

     5月11日 岩城担当相から説明聴取

     5月18日 独立公文書管理監から説明聴取

           ▽内閣情報調査室(内調)が補足説明

     9月26日 中曽根弘文会長を互選

       28日 11行政機関から指定、解除、適性評価の状況を聴取

    10月 5日 9行政機関から適性評価の状況を聴取▽2015年年次報告書の検討事項について内調から聴取

       19日 前回に続き内調、警察庁から聴取

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