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共同開発について触れた仏担当官の一問一答

 駐日フランス大使館のスニル・フェリックス原子力担当参事官は、フランスの新型高速炉「ASTRID(アストリッド)」の今後の計画などについて、毎日新聞の書面インタビューに応じた。一問一答は以下の通り。

     Q フランスの新型高速炉「ASTRID」計画の日仏協力事項の中には、日本の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)での試験などが含まれている。もんじゅが廃炉になった場合、日仏の高速炉研究や開発協力にどのような影響があると考えるか。フランス側に支障はないか。

     A ASTRID計画は、第4世代高速中性子炉の原型炉建設を目的とし、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)が主導している。計画では「もんじゅ」や、実験炉「常陽」(茨城県)の運転状況に応じ、日本の炉を利用する試験を検討している。

     ASTRID計画のリスク分析には、もんじゅ廃炉の可能性の影響も含めており、フランスの原子力政策への影響がないように必要な対策が考慮されている。

     もんじゅの廃炉が決定された場合は、試験の一部を常陽で実施することで、計画への影響を最小現に抑えることができるだろう。

     Q ASTRIDの共同研究への期待が高まっているが、実現性を疑問視する声もある。率直に言ってASTRIDは実現可能か。

     

     A ロワイヤル環境・エネルギー・海洋相は2015年の声明の中で、第4世代炉開発への国の関与、特にASTRID計画の実施について確認している。関連する作業は現在、非常に満足の行く形で進められている。

     Q ASTRIDは何年ごろに運転可能か。設計は順調に段階を踏んでいるか。

     A 2019年までの計画は「概念設計」(13~15年)と「基本設計」(16~19年)の二段階で構成されている。15年12月に「概念設計」段階を終え、関係諸機関から「基本設計」段階へ移行する合意が得られた。

     CEAは先頃、フランス電力(EDF)、原子力大手アレバグループとの合意のもと、フランス当局に対し、計画の技術的、財政的最適化を図るため、20~23年の4年間の「統合段階(調整設計段階)」を取り入れるよう提案した。

     ASTRID計画に対し、日本が参加比率をより高める決定をした場合、こうした段階を設けることで、特に原子炉の設計等、日本側が提案する技術的オプションをより的確な形で導入することが可能になる。最新の原子炉開発の経験によれば、建設から運転開始まで約10年とされている。

     Q 日本とのASTRID共同研究に、フランス政府は何を期待するか。日本との協力にどんなメリットがあるのか。また日本側にとってどんな魅力があると考えるか。

     A CEAは、ASTRID計画でのもんじゅと常陽の貢献に敬意を表したい。安全性と運転の利便性の高さを保持しながら稼働する全ての高速中性子炉は、核燃料サイクルの完遂、核物質の最適管理、また放射性廃棄物の少量化に寄与する。もんじゅと常陽に関する日仏協力は、特に燃料と制御棒の製造、また炉内の状況を確認するものだ。

     14年8月以降、三菱重工業は、CEAとアレバグループの支援のもとで、日本のJSFR(ナトリウム冷却高速炉)プロジェクトの経験のフィードバックに貢献するとともに、ASTRIDの原子炉主要機器の設計に参加している。

     15年秋には、良好な協力関係が認められたことから、関係機関(CEA、アレバグループ、日本原子力研究開発機構、三菱重工)は、日本の貢献範囲を原子炉主要機器の設計研究まで広げることを決定した。

     三菱重工は、複雑な設備設計(プラグ、原子炉のふた、炉心など)に携わっており、特にこれらの設備を日本産業界の能力を生かし製造する可能性についても検討している。

     三菱重工は一部安全機能の評価も実施しており、現在のASTRID設計の改善策についても提案があれば検討する。

     Q ASTRID共同研究の役割分担や資金分担について、どのような配分が望ましいか。

     A CEA、アレバグループ、日本原子力研究開発機構、三菱重工が、ASTRIDの設計支援のための研究開発を共同で実施することが可能となる政府間の取り決めを、14年5月5日、CEA、経済産業省、文部科学省の間で締結した。

     この取り決めは19年までの「基本設計」段階を対象とするものだ。関係諸機関は、現行の協力が両国にとって実りの多いものであり、19年以降も協力関係が継続されることがお互いのメリットになるとの考えを共有している。

     日本の参加協力は様々な形で、より一層高まると思われる。フランスが提案するその一つの方策が、ASTRIDを日本との共同プロジェクトとして開発することだ。その場合、両国はそれぞれの国家プロジェクトとして蓄積してきた知見を活用し、今後共同で開発する技術的進歩を享受しつつ、ASTRID計画へ貢献することとなる。

     Q フランスで保管されている日本保有のプルトニウムをASTRID計画で使用する可能性についてはどう考えるか。

     A 良い考えだと思われるが、現時点では、まだ日本の関係者へ提案はしていない。

     Q 福島事故から5年間の日本の原子力政策の印象は。

     A 私たちは国内原子力炉の再稼働を目指す日本当局の努力に敬意を表する。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)直後の状況下において、原子力は安価で二酸化炭素を排出しない電力を、安定的にまた大量に供給することができるエネルギー資源だ。福島の事故以降、安全性をより一層高め、また世論に対する良好な広報活動を保証することで、国の関係当局、安全規制当局、また事業者が取り組んでいる努力は、疑う余地もなく、その目的達成を可能なものとするだろう。

     Q 今後、原子力、核融合などの日仏の協力関係はどう発展して行くと思うか。

     A 熱核融合分野における日本とフランスの協力は非常に強固だ。フランスは「国際熱核融合実験炉(ITER)」を受け入れ、日本とともに同プロジェクトの主要貢献国である。また、フランスは、青森県六ケ所村や茨城県那珂市で進むプロジェクトなどITER協定を補完する「より幅広いアプローチ」(BA)計画の活動についても欧州最大の貢献国だ。ITERプロジェクトは、量子科学技術研究開発機構・那珂核融合研究所(茨城県)のプロジェクト同様、数十年にわたり実施されるプロジェクトである。

     フランスは、ITERプロジェクト発足に際し、そのサイトと特別な資金提供を行うことで、重要不可欠な役割を担った。また、フランスは、ITER機器の後継機となる実証炉「DEMO」を具体化するという欧州における追加策にも参加している。

     Q 風力や太陽光、水素など、再生可能エネルギーでの日仏協力の可能性は。

     A 15年6月、フランス議会により可決されたエネルギー移行法にも記載されているように、フランスでは、化石燃料の代替として、原子力と再生可能エネルギーが大きな役割を担うエネルギーのベストミックスを目指している。日本も自前のエネルギー資源の状況はフランスと似ており、両国は同様の選択を行っている。

     両国の間には、既に再生可能エネルギー分野での関係が存在する。例えば「フランス環境・エネルギー管理庁(ADEME)」と「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の間で培われている関係がある。

     これら科学協力により、例えば再生可能エネルギーにより電力供給される送配電網の管理分野で実証設備を具体化することなどを目標としている。COP21での公約に続き、今後、両国の再生可能エネルギー分野においても2国間の協力関係が強化されるだろう。

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