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年金改革法案 持続可能にする論議を

 年金制度改革関連法案をめぐって今国会での与野党の論議が激しくなっている。焦点は年金額の改定ルールだ。

     将来も年金が維持できるのかと不安に思う人は多い。年金額は複雑な数理計算によって調整されており、一般の人にはわかりにくい。それが不安を増幅させる要因にもなっている。適正なデータに基づき、丁寧でわかりやすい論議が必要だ。

     年金額改定ルールの見直しの一つは、年金給付額を少子高齢化の進展に合わせて調整する「マクロ経済スライド」という仕組みをデフレ下でも適用すること。もう一つは、賃金の下げ幅が物価の下落より大きいときは、それを給付額に反映することだ。両方とも現行制度にはない。

     年金は国民から保険料として集めた財源を長期間にわたって高齢者に給付していく制度であり、現在の高齢者に多く給付すれば、現役世代(将来の高齢者)の給付水準が下がる。逆に現在の給付を抑えると、将来の給付に余裕が出る。

     デフレで物価や賃金が下がったとき、それを年金に反映させなければ、給付額は高水準のままとなり、将来の財源が苦しくなる。長期的に年金を持続可能にすることを考えると、改革案は必要な措置ではある。

     しかし、現在の高齢者の給付が下がることを前提にしているため、民進党などは「年金カット法案」と批判する。国会でも独自の試算に基づいて、政府の想定より給付額が大幅に下がる可能性があると追及する。

     ただ、過去にもさまざまな研究者や民主党(当時)議員が独自の試算やデータを用いて「年金積立金は数年以内になくなる」「年金は事実上破綻している」などの主張を繰り返してきた。政府の説明が難解で不十分な上、「消えた年金」などの不祥事のイメージも重なって、国民は疑心や不安を膨らませてきた。

     実際、低年金で生活が苦しい高齢者は多く、現行制度にもさまざまな問題点はある。しかし、少なくとも積立金は現在約130兆円の水準を維持しており、年金制度自体が破綻しているわけでもない。

     限られた財源を現在と将来の高齢者が分かち合うのが年金であり、世代間の信頼がなくては成り立たない制度だ。国民の不安を解消するため問題点は徹底して議論すべきだが、正確で公正なデータと論理が必要であることは言うまでもない。

     年金の長期的な財政は物価や賃金だけでなく出生率や利回りにも大きく影響される。デフレを前提にした制度改革も大事だが、デフレを克服する経済政策や出生率の改善に取り組むことが制度の持続可能性を高めることも忘れてはならない。

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