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ハイビーム

事故防止に警察庁奨励 街中ではロー併用を

ハイビームの照射距離は約100メートル。この先の左カーブも分かる=2016年11月3日午前1時17分、宮嶋梓帆撮影
ロービームの照射距離は約40メートルでその先は見えない=堺市美原区で2016年11月3日午前1時17分、宮嶋梓帆撮影

 夜間の交通事故を減らそうと、警察が車の前照灯のハイビーム(ハイ)を原則使用するよう呼びかけ始めている。照射距離はロービーム(ロー)の2.5倍の約100メートルあり、危険を早期に発見できるためだ。ただ、交通量が多い街中ではまぶしくて危険な面もあり、大阪府警は「ハイとローをこまめに切り替えるよう努めて」と訴えている。【宮嶋梓帆】

視界2.5倍

 警察庁は先月末、運転免許取得時などの講習で使う「交通の方法に関する教則」の内容を一部改正したものを交付。ハイを積極的に活用するよう初めて明記した。対向車に応じた切り替えを前提とするが、「市街地以外の交通量の少ない地域では前照灯を上向きに」と記された。

 こうした指導の変更は、ロー利用時の事故が減らないことが背景にある。大阪府警は、2012年~今年8月末までに府内で夜間に起きた死亡事故を分析。歩行者がはねられた事故71件のうち、無灯火だった2件を除いて残りの69件すべてが事故時にローだった。

 府警によると、時速60キロで走行した場合、急ブレーキをかけて停車するまで44メートルかかる。ロービームは40メートル先までしか届かない。府警幹部は「ハイビームを使っていれば歩行者を早期に発見できるので、事故を防げたケースもかなりあったのではないか」と指摘。こうした現状を受け、府警は数年前から運転講習などでハイの積極活用を呼びかけてきた。

 ただ、課題もある。先月20日、府トラック協会が開いた運転手向けの安全運転講習会。「原則ハイビームを使い、対向車が来たらロービームにしてください」と呼びかける警察官に、運送会社に約30年勤務するベテラン運転手の男性(47)=同市都島区=が首をかしげた。「(ハイは)まぶしくて危ないから、ほとんど使わない。トラブルのもとだ。実際は何度も切り替えするのは難しいのでは」と言う。

 府警によると、こうしたトラブルを避けるためか、無意識のうちにローで走るドライバーが多いという。ただ、市街地から郊外に出てもローのまま運転する人も少なくない。府警の担当者は「ハイビームの効果を知ってもらって、切り替えながら積極的に使ってもらいたい」と話した。

自動切り替えも開発

 自動車メーカーはハイとローの切り替えを自動化させるなどの先進技術を開発し、原則的にハイビームで走行できる車の実用化を進めている。

 国土交通省が国内の主要メーカー12社に対して行った調査によると、対向車を車載カメラなどで検知して自動的にローに切り替える機能を約28万台(2015年末現在)で採用した。過去は高級車に限られていた機能だが、日産と三菱自動車が15年10月、軽乗用車に初めて搭載したモデルを発売した。

 さらに技術は進化している。マツダはハイのまま走行し、対向車を感知したエリアだけを遮光する技術を開発。対向車が感じるまぶしさの軽減と運転者の視界の確保を両立させている。国交省の担当者は「先進技術がドライバーをサポートすることで事故のリスクを減らせる。今後も普及を進めていきたい」と話している。

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