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社説

電通を強制捜査 企業風土への一罰百戒

 長時間労働に寛容な日本の企業風土に対する一罰百戒の意味を込めてのものだろう。

     東京労働局などは広告代理店最大手・電通の本社と、大阪、京都、名古屋にある各支社を、労働基準法違反の疑いで家宅捜索した。

     新入女性社員(当時24歳)が過労自殺した問題で、既に「臨検」と呼ぶ立ち入り調査をしている。だが、他の社員も労使協定の上限を超えて違法な残業をしていること、2014年と15年に違法な長時間労働を社員にさせたとして労働基準監督署から是正勧告を受けながら改善されないことも考慮し、刑事処分を求めるための強制捜査に切り替えた。

     電通では1991年にも入社2年目の社員が過労自殺している。順法精神に欠けた体質の企業にメスが入るのは当然だ。労働局は徹底した捜査で同社の長時間労働の実態を明らかにすべきである。

     今回の強制捜査を行ったのは、厚生労働省が昨年4月に設置した「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)だ。

     従業員を酷使する悪質な「ブラック企業」を調査するため、東京労働局と大阪労働局に置かれており、東京では監督課長をトップに7人の労働基準監督官が従事している。地方の労働局にも「過重労働特別監督監理官」が1人ずつ配属され、計47人が連携して調査に当たっている。

     かとくは違法な長時間労働が疑われる事業所への監督指導に専従している。主な対象は、全国展開する大企業だ。電通は沖縄から北海道まで支社や子会社があり、各地の労働局の監督官が一斉に「臨検」をして実態解明に乗り出している。

     違法な長時間労働を行っているのは電通だけではない。厚労省が昨年4~12月に長時間労働を疑われた8530社を調査したところ、半数を超える4790社で違法な時間外労働が確認された。このうち月100時間を超える残業が認められたのは約6割に上っている。

     かとくはこれまでも靴販売チェーン「ABCマート」を全国展開する運営会社「エービーシー・マート」や、大手ディスカウント店「ドン・キホーテ」を立件したが、氷山の一角に過ぎないのは明白だ。

     労基法は1週間の勤務時間を40時間と定めているが、労使協定を結べば延長が認められ、特別条項付き協定でさらに延ばすことができる。実質的な労働時間の青天井を許してきた立法の不作為が、長時間労働のまん延を招いたと言える。

     政府は長時間労働から社員を守るための労基法改正にこそ取り組まねばならない。安倍政権の「働き方改革」の真価が問われる。

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