メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

異例の戦い、米二分 開票速報見守る国民

 開票が進んだ米大統領選は、共和党ドナルド・トランプ候補(70)と民主党ヒラリー・クリントン候補(69)の大接戦となり、全米が開票速報を緊張しながら見守っている。既存政治への「ノー」を突きつけたトランプ氏が、国民の「結束」を訴えたクリントン氏に対し勢いを増している展開だ。【ニューヨーク國枝すみれ、長野宏美】

クリントン氏 「統一か分裂か」

 民主党のクリントン候補は8日朝、自宅のあるニューヨーク州チャパクアの投票所で夫のビル・クリントン元大統領と投票した。クリントン氏は支持者から「ヒラリー」「私たちは彼女が勝つと信じている」と声援を送られ、笑顔で写真撮影や握手に応じた。

 クリントン氏は報道陣に「これ以上ないほど謙虚な気持ちだ。どれだけ責任がともなうか分かっているからだ」と述べ「多くの人が選挙の結果を期待している。大統領に選ばれたら最善を尽くす」と話した。

 「明確な選択だ。統一か分裂か。安定した強いリーダーシップか何をするか分からない危険な人物か」。投票日前日の7日、クリントン氏は集会でそう訴えた。移民やイスラム教徒を敵視するトランプ氏に対抗しクリントン氏が掲げたスローガンは「一緒なら強くなれる」。人種や価値観が多様化する社会を排除や分断ではなく、結束し違いを包み込むことで前進しようと訴えてきた。そうした提案は、トランプ氏に反感を持った中南米系らマイノリティー(少数派)に一定浸透した。

 また、女性を侮辱し、日本など外国が核兵器を持つことを容認する発言をするトランプ氏について「大統領の資質に欠ける」と訴えた。直接対決する3回の討論会には、他の集会出席を制限してまで準備に全力を注ぎ、これが奏功して「3連勝」した。

 一方で、公人として表舞台に立ち続けた経験はマイナスにも働いた。予備選では政治革命を訴え、若者の支持を受けたバーニー・サンダース上院議員(75)に思わぬ苦戦を強いられた。最低賃金の引き上げなど、サンダース氏の政策を一部取り入れることで、党内の融和を図った。

 サンダース氏も応援演説に回り、最終盤は黒人に人気のオバマ大統領やミシェル夫人、人気歌手らのオールキャストで支持を訴える強みを見せた。

 ただ、最後まで尾を引いたのが国務長官時代に公務で私用メールを使った問題だ。不信感の原因となり、世論調査の好感度ではほぼ一貫して「好感が持てない」が半数を超えた。

 投票日11日前に米連邦捜査局(FBI)がメール問題の捜査再開を発表。結局、訴追しない結論は変わらなかったが、激しく追い上げられる原因になった。

トランプ氏 「怒り」追い風に

 米大統領選共和党のトランプ候補は8日、ニューヨーク・マンハッタン中心部の投票所を夫人ら家族と一緒に訪れて投票した。

 ボディーガードに囲まれたトランプ氏はいくぶん硬い表情で、メラニア夫人(46)と並んで投票。記者の「誰に入れたのですか?」という質問に、「知らないよ。難しい判断だ」と冗談で応じた。さらに、「いい調子だ。どうなるか結果を見てみよう」と勝利する自信を見せた。

 トランプ候補は昨年6月の出馬宣言で「メキシコ人はドラッグ、犯罪を持ち込む。彼らはレイプ魔だ」と暴言を吐き、国境に巨大な壁を建設すると約束した。不法移民の強制送還やイスラム教徒の入国禁止など、差別的と受け止められる政策を次々と提案した。反発も受けたが、米国で進む「ポリティカル・コレクトネス(差別を助長しない表現)」運動が行き過ぎていると感じている一部の国民を引きつけた。

 政治家としての経験のなさは、格差拡大を放置してきた既存の政治家に怒る国民を、かえって味方につける武器となった。選挙資金の大口献金者が少ないという不利も「誰からも影響力を受けない」と宣伝材料に替えた。

 17人が乱立した共和党大統領候補指名争いでは、負けた場合の第3党からの出馬をにおわせ、本命候補たちをけん制。首位を固めてからは、主流派らが「反トランプ」で結束できずにいるうちに、勝利をさらった。

 7月の共和党全国党大会は一部の州が指名を拒否する動きに出るなど、分裂状況があらわになった。党は問題発言を控えて政策を穏健化するよう要求したが、軌道修正しなかった。党員集会・予備選で共和党史上最高の計1330万票を得た「草の根」の支持を確信したためと思われる。

 「偉大な米国を取り戻す」というスローガンで、現状に不満を持つ民主党員や無党派層にも支持を広げた。自身を古い体制と戦う「アウトサイダー」と位置づける一方、30年間政界の中心にいたクリントン候補に「体制派」とレッテルを貼り、国務長官時代の私用メール問題をとりあげ、クリントン氏の「不正」非難を繰り返した。3回のテレビ討論会はすべて「敗北」と評価され、10月7日には過去の女性蔑視発言が暴露されて、女性や保守派らの離反を招いた。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 神奈川県警 着服の女性巡査懲戒処分「ホストクラブ通い」
  2. 森友学園 国有地 不可解さ色濃く 籠池氏「昭恵氏」連発
  3. 世界の雑記帳 海軍画像にネットで酷評殺到、中国国防省が「不注意」認め謝罪
  4. 渡辺麻友 主演ドラマ「さよなら、えなりくん」で主題歌も歌う
  5. イオンモール松本 今秋開店 渋滞対策巡り話し合い /長野

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]