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社説

1票の格差 参院とは何かの議論を

 1票の格差が最大3・08倍で実施された7月の参院選が違憲かどうか全国で争われた訴訟で、1審の高裁・高裁支部判決が出そろった。

     16件のうち、10件が「違憲状態」とし、6件が「合憲」とした。

     昨年、公職選挙法が改正され、今回の選挙では、「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区が初めて実施された。合区導入による格差是正の試みをどう評価するかが焦点になった。

     2013年の参院選の最大格差は4・77倍だった。今回、合区によって格差が縮小したにもかかわらず、格差是正は「なお不十分」と判断した高裁・高裁支部が10に上った意味は重いと言える。国会へさらなる是正を迫ったものだ。

     13年参院選の1票の格差について、最高裁は投票価値に著しい不平等が生じているとし、「違憲状態」と判断した。最高裁はその際、できるだけ速やかに立法措置で不平等状態を解消すべきだと指摘した。

     16件の高裁・高裁支部判決では、国会の法改正への評価が分かれた。たとえば違憲状態とした広島高裁岡山支部は「都道府県単位の選挙区を極力維持しようと最小限の合区にしたため、3倍を超える格差を残した」と結論づけた。一方、合憲とした東京高裁は「法改正によって数十年続いた5倍前後の格差が縮小した」と前向きにとらえた。

     また、仙台高裁秋田支部は、参院議員の持つ地域代表的性格を前提としても3倍程度の格差を正当化することはできないとの考えを示した。

     さまざまな指摘をどう是正につなげるのかは、国会の役割だ。最高裁は、投票価値の不均衡を戒めながら、是正方法については国会の幅広い裁量権を認めている。

     「合区」では、島根を除く3県で投票率が過去最低を記録した。「合区」の限界を示したのは確かだ。参院の役割を踏まえれば、都道府県のまとまりを基に選挙制度を検討すること自体は、必ずしも不合理ではない。ただし、都道府県のまとまりを維持しながら格差是正を図るのは容易ではない。そこに、この問題の難しさがある。

     自民党からは合区解消を求める声が出ているが、それだけでは問題は解決しない。そもそも、衆院との役割分担や、参院の存在意義といった本質的な議論がなければ抜本解決には至らないだろう。党利党略を乗り越え与野党がテーブルにつき、建設的に話し合うべきだ。

     昨年成立した改正公選法の付則では「19年参院選に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて検討し、必ず結論を得る」と明記している。最高裁の判決を待つことなく、国会は早急に議論を始める必要がある。

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