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生前退位

公務削減でも賛否 あるべき姿に違い

 「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の14日のヒアリングでは、天皇の「公的行為」のあり方も議論になった。行事出席や地方訪問などの公的行為の拡大が課題になっており、他の皇族に任せるなどして減らすべきだとする意見が出た一方で、削減は困難との指摘もあった。天皇のあるべき姿についての考え方の違いが、見解の違いに反映されている。

 渡部昇一上智大名誉教授は、公的行為について「最後まで国民の見えるところで仕事をしたいというのはありがたいが、そこまでする必要はない」と指摘。「宮中で国民のために祈れば天皇の仕事をしたことになる」と主張した。天皇の存在自体や宮中祭祀(さいし)が最も重要とする立場からは、公的行為は天皇の役割としては削減可能な二次的なものとなる。

 ジャーナリストの桜井よしこ氏も、現憲法で祭祀が皇室の私的行為とされたことを「戦後日本の大いなる間違い」と指摘し、(1)祭祀(2)憲法で定める国事行為(3)その他公務--の順で優先順位を付け「皇太子さまらに分担する仕組みの構築が大事」と提案した。

 渡部、桜井両氏は退位にも反対した。「天皇は存在自体が大事」という天皇像を前提とすると、負担を軽減した上で終身在位すべきだという考え方になる。

 戦後の象徴天皇の歩みをふまえる立場からは、公的行為の削減に慎重な意見が出た。ジャーナリストの岩井克己氏は、公的行為を「『人間天皇』が、人々と心を込めて接して積み重ねられるもの」と定義した。そのうえで「象徴として生きるやりがいでもあり、(陛下)自らも力づけられる大切なもの」として、陛下の活動の中で不可欠だと位置付け、一律の削減は難しいと主張した。

 笠原英彦慶応大教授は負担軽減の必要性を指摘する一方で、公的行為は天皇の裁量で行われるべきで、「各代の天皇がその時代にふさわしいと考える行為を行うべき」だと指摘。一律に結論を出すのは難しいとの考えを示した。

 陛下は8月の「おことば」で公的行為について「天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」と述べられた。宮内庁の西村泰彦次長は7日の記者会見で公務の大幅削減は困難との見解を示している。

 3回目のヒアリングは30日に憲法の専門家5人を招いて行われる。【野口武則】

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