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委員会から 「ダム底にセシウム」の訂正 専門記事、チェック徹底を

 9月25日1面「ダム底 高濃度セシウム」と3面「たまる汚染 募る不安」「質問なるほドリ ベクレルって何?」の記事と図に複数の誤りがあり、訂正やおわびを3度掲載しました。異例の対応に至ったことについて、毎日新聞は第三者機関「開かれた新聞委員会」に見解を求めましたので、経緯を報告します。

     記事は東京電力福島第1原発事故後、放射性セシウムがダム底の土にたまり地元で不安の声が出ていることを受け、環境省のデータを基に底土のセシウム濃度の現状を調べ、実態把握や対策の必要性を提起したものです。

     この中で、環境省の公表資料で表層水のセシウム濃度が検出できる下限値を下回ったことを示すデータを記者が読み誤り、検出されたものとして表記しました。上司もチェックできませんでした。

     10月4日1面で8行の訂正記事を掲載しましたが、「分かりにくい」と指摘があり、6日総合・社会面で内容を説明しました。更に他の誤りも指摘され、9日3面で記事の一部と図を削除・訂正しおわびしました。「なるほドリ」は省庁の発表資料などを基に執筆しましたが、取材が不十分でした。

     取材、執筆は東京本社の地方部が中心となり、科学環境部が協力しました。地方部は科学環境部にチェック機能を期待しましたが、意思疎通を欠き、科学環境部も地方部が取材した部分の基データや資料は確認せず、連携が不十分でした。

     池上彰委員(ジャーナリスト)は「訂正は分かりやすく迅速に。この原則が守られなかったことに驚いている」と述べ、「地方部と科学環境部の判断は役所の縦割りと同じ。それぞれが自分の問題として取り組む必要がある」と指摘しました。

     荻上チキ委員(評論家)も「ウェブ上ではすぐさま専門家らが問題点を指摘していたが、訂正がとても遅く、趣旨がどう変わるのかも分かりづらかった」とし、「記者と読者が放射性物質に関する基礎知識や現状を学び直す機会を作る試みも重要」と提言しました。

     鈴木秀美委員(慶応大教授)は「原発事故による放射線の影響は報道機関が長期的に取り組むべき問題。人々が合理的にリスクに向き合うための『リスクコミュニケーション』において、情報伝達や論争喚起などメディアに期待される役割を果たすための体制を整備してほしい」と要望しました。

     吉永みち子委員(ノンフィクション作家)は「チェック体制だけでなく、記者一人一人の意識、力量、出稿責任者の仕事への慣れといった資質と使命感の問題」と述べました。

     今回の問題を教訓に、専門性の高い記事や社会的影響の大きい記事は外部識者への取材を一層徹底し、専門記者にチェックや助言を求めることを再確認しました。訂正も「迅速に分かりやすく」を改めて徹底しました。

    砂間裕之・毎日新聞編集編成局次長の話

     ダム底の放射性セシウムにどう対処すべきかを問題提起した記事の趣旨は変わりません。しかし、不検出だった水のセシウムを微量でも検出されたとするなど複数の誤りがあったことをおわびします。細心の注意を払い、正確な報道に努めます。


    9月25日朝刊記事の概要

     福島第1原発周辺のダム底に、森林から流入した放射性セシウムが高濃度でたまり続けている。環境省のモニタリング調査データを集計した結果、10のダムで底土表層の濃度の平均値が国に管理義務のある指定廃棄物の基準(1キロ当たり8000ベクレル超)を超えていた。セシウムは底土に付着し、表層水の濃度は飲用基準を大きく下回る。同省は人の健康に影響しないことを理由に「ダムに閉じ込めておくのが現時点の最善策」とするが、大地震による決壊や、環境の変化で水に溶け出すなどの懸念があり、専門家は「国は全体像を示すべきだ」と指摘する。

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