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インタビューシリーズ・番組論

/3 TBS 今見たいドラマを、視聴率は目安

伊與田英徳プロデューサー

 かつて「ドラマのTBS」と呼ばれた時代があった。「半沢直樹」などで復調をけん引する伊與田(いよだ)英徳プロデューサーにヒット作の条件を聞いた。

     --自身の原点となる作品は?

     プロデューサーとして初めて手がけた映画「命」とドラマ「ブラックジャックによろしく」。「ブラックジャック」は大学病院のやり方にメスを入れる内容だけに、TBS社員は病院に行けなくなるんじゃないかと思ったが、原作漫画の内容がよく、オブラートに包まず突き進んだ。野球でいえば、怖いもの知らずの新人がインコースに直球を投げるようなもの。今の若い世代も怖いもの知らずで面白い。

     --現在放送中の「逃げるは恥だが役に立つ」が2桁視聴率を記録しています。

     「逃げ恥」の企画を最初に考えたのは20代半ばのプロデューサー。等身大でちょっとおバカな妄想をするヒロインに新垣結衣を起用することは僕にはできない。自分とは違う面白い攻め方で、刺激になる。

     --「半沢直樹」のほかに「下町ロケット」も大ヒット、昨年末放送の「赤めだか」で今月「東京ドラマアウォード2016」の単発ドラマ部門グランプリを受賞しました。ずばり、勝利の方程式がある?

     基本的にない。まずは自分が面白いと思うこと、それをどう伝えるかを考える。それしかない。

     --視聴者像を意識しますか。

     まずは自分が面白いと思うものを作り、宣伝をする段階で、関心を示すのはどの世代なのかを考える。

     --ヒット作から逆算して視聴者のニーズを知ることもあるのでしょうか。

     ヒット作に似たような作品をやっても視聴率が上がらないこともあるので、実は分からない(笑い)。「半沢直樹」の場合は、池井戸潤先生の原作が面白く、(銀行マンを描いた経済ドラマは)地上波ではエアポケットだった。そこに、堺雅人という言葉を自由に操る俳優が主人公になりきった。後から振り返って、それぞれがうまくかみ合ったんだなと思う。

     --原作者との関係で心がけていることは?

     原作と同じことをやるのはつまらないというプロデューサーもいるが、僕は原作の面白いところをいかに伝えるかを考える。原作者は最初の視聴者。いいなと思ってもらいたい。ドラマ化したいと最初にお願いするときは、どこに感動したかを伝えるようにしている。そこがずれれば僕に作品を預けてはくれない。若手には「企画書はラブレターだ」と説明している。

     --制作者にとって視聴率とは?

     一つの大きな目安。DVD化されてから見られたり、録画再生で見られたり、後から見てくれるのもうれしいが、「今見たい」と思ってもらえる強い番組を作ることがテレビの醍醐味(だいごみ)だ。【望月麻紀】=つづく

    42%超えた「半沢直樹」

     ビデオリサーチの視聴率ランキング(1977年9月26日以降の番組対象)でヒューマンドラマなど一般劇の首位はTBS「積木くずし」最終回(83年)45・3%。2位が「半沢直樹」同(2013年)42・2%。地上波のリアルタイム視聴率が伸び悩む中、可能性を感じさせる快挙だった。

     ただ、ここ数年、有料放送や動画配信サービスもオリジナルドラマを提供。視聴率競争は一層激しくなっている。


     ■ことば

    視聴率

     放送と同時に見る割合「リアルタイム視聴率」のほかに、最近は1週間以内の録画再生率「タイムシフト視聴率」や重複を省いた「総合視聴率」も公表されている。


     ■人物略歴

    伊與田英徳プロデューサー

     愛知県出身。制作会社勤務から中途採用で1998年入局。以来、ドラマ制作一筋。49歳。

    毎日新聞のアカウント

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