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社説

日韓の情報協定 共通の脅威への備えだ

 日本と韓国は、北朝鮮の核という現実の脅威に直面している。両国による情報共有を進めるのは、意義のあることだ。

     日韓両政府が軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)に署名し、発効させた。

     日本は、韓国のイージス艦が黄海上でとらえた北朝鮮のミサイル発射情報や脱北者らを通じて韓国が入手した情報を得ることができる。韓国は、北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)開発への対応を迫られており、日本の対潜哨戒能力への期待が高い。互いに情報を補完すれば、的確な判断を素早く行えるようになる。

     日韓両国は米国の同盟国であり、北朝鮮の脅威への対処は日米韓3カ国の協力が基本である。その中で最も弱かった日韓の安保協力を強化することは自然なことだ。

     協定は、相手国から受け取った情報の目的外使用や漏えいをしないと約束するものだ。秘密情報を渡す前提となるものであり、情報提供を義務付けるわけではない。日本は米国やインドなど7カ国・機関と、韓国もロシアを含む30カ国以上と同様の協定を締結済みだった。

     日韓は2012年にも締結しようとしたが、韓国世論の反発で署名式直前に取りやめとなっていた。代替策として米国を介した情報交換の枠組みが14年にできていたが、日韓が直接やり取りすることで情報交換を迅速化できる。

     気掛かりなのは、朴槿恵(パククネ)大統領を巡る疑惑による政治的混乱の中での署名となったことだ。朴大統領は北朝鮮の核開発進展に危機感を強めて署名に踏み切ったが、支持率が1桁に落ち込み、退陣要求を受ける中で強行したことへの批判は強い。

     韓国の野党は「日本の軍事大国化を助ける」などとも批判している。歴史的経緯から日本との安保協力に警戒感を抱くことは理解できるが、協定の内容を考えると無理のある主張だと言わざるをえない。

     韓国ではさらに、日米韓の安保協力強化が対中関係を悪化させるという懸念も目立つ。だが、日米韓が連携したうえで、中国とも協力することはできるはずだ。

     協定は、日韓どちらかが破棄を通告しなければ1年ずつ更新されていく。韓国野党の一部には破棄を主張する声もあるが、政権交代したとしても日米韓の情報トライアングルは維持すべきであろう。

     不透明さの増す東アジア情勢を考えれば、協定の有用性が変わることはない。日韓両政府には、難産だった協定を慎重かつ着実に運用する実績を積み重ねてほしい。それが、韓国世論の理解を得て日韓の協力を定着させる道につながるはずだ。

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