メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

激震トランプ 市場の活況 バラマキ期待は危うい

 米国の大統領選挙後、世界の株式市場で活況が続いている。外国為替市場では、ドル高・円安が急激に進んだ。「トランプ大統領」の積極政策で米経済の成長が加速するとの期待が先行し、相場を動かしている。

     投票日前の市場では、トランプ氏の勝利を「未知の始まり」と警戒する向きがあった。経済への影響が計り知れず、株価やドル相場の急落を招く、との不安が根強かった。

     実際は、予想に反して、ドル高・円安、株高が続き、市場は熱気に包まれた。日本でも日経平均株価が一時、年初来高値を上回るなど、恩恵を受けているように映る。

     では、落とし穴はないのか。

     市場を勢い付かせたのは、トランプ氏の経済政策「トランポノミクス」が成長率を押し上げると受け止められているからである。

     勝利宣言をした演説でトランプ氏は、インフラへの積極投資を真っ先に挙げた。高速道路や橋、トンネル、空港などを建設し、雇用を創出すると強調した。公約した大幅な減税も、経済を刺激する効果が期待される。そのまま実行されるとは限らないが、相場は成長加速を先取りするようにどんどん進んでいるようだ。

     だが、トランポノミクスには、危うさがつきまとう。バラマキの財政政策にしても、輸入品の価格上昇につながる米国製品の保護政策も、インフレを招きかねないものだ。長期金利の急騰(国債価格の急落)はインフレ予想を映し出している。

     減税やインフラ投資といった財政政策は、需要を刺激する一方、将来にツケを回す。長続きせず、無理が露呈すれば、株式、債券、ドルのトリプル安を招く恐れもある。

     リーマン・ショック後に再発防止策として導入された金融規制をトランプ氏が撤廃しようとしていることも、株式市場は歓迎している模様だ。トランプ氏が非難してきたウォール街を潤す半面、金融市場の暴走を再び許し、長期の景気低迷につながる金融危機の種をまきかねない。

     市場の期待通りにならなければ、相場は反転し、予想通り政策が実施されれば、長期的により大きなリスクを抱え込む可能性がある。

     トランポノミクスが円安を促進すれば、輸入物価が上昇し、2%の物価上昇目標を早期に達成したい日銀に追い風となる、との見方もあるだろう。しかし、円安頼みの物価上昇は持続性がないばかりか、消費者の負担増を招き、経済全体にプラスとならないことが、すでに明らかになっている。

     トランプ相場は慎重に見極める必要がある。

    おすすめ記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 埼玉・川口の小学校でクルド人いじめ深刻 支援者「特別視せず平等に対応を」 
    2. イヌサフラン誤って食べた男性が死亡 群馬・渋川
    3. 九州新幹線にミッキーデザイン登場 5月17日から半年の期間限定
    4. アクセス NGT48・山口真帆さん卒業表明で運営側への批判再燃 識者は「最悪の幕切れ」
    5. 漫画で解説 クルド人ってどんな人たち?の巻

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです