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社説

NHK受信料 本格的な値下げ議論を

 将来展望が不十分な値下げ案は、拙速だったといわざるを得ない。

     NHKの最高意思決定機関である経営委員会が、月額50円程度受信料を引き下げる籾井勝人(もみいかつと)会長の提案を見送った。中長期的に考える必要があるというのが、その理由という。

     内部留保があるなら視聴者に還元すること自体は当然である。ただ、NHKが抱える問題を考えれば受信料だけを議論すべきではない。50円程度では、値下げの幅が小さすぎて視聴者の理解も得にくいだろう。

     NHK改革は業務、受信料、経営体制を一体的に進める必要がある。公共放送の将来を議論する中で本格的な値下げを検討するのが筋だ。

     受信料を巡る懸案は幾つかある。

     一つは、番組を放送と同時にインターネットでも配信するネット活用業務のあり方である。NHKは東京五輪が開催される2020年に向け常時同時配信を目指している。その場合はネット視聴者に受信料負担を求めるかどうかが論点になる。

     例えば同時配信で先行する英国の公共放送は、テレビ、パソコン、スマートフォンなどの受信機を持つ世帯に支払いを義務づけている。ドイツの公共放送は、全ての世帯と事業所に負担金を課している。支払率はいずれも95%前後と高い。

     一方、NHK受信料の支払率は8割近くまで向上した。それでも東京や大阪などでは、若者のテレビ離れもあって低率にとどまる。

     自民党は総務省に義務化の検討を求めたが、それには賛同できない。義務化への抵抗は大きいし、NHKに対する政府の介入が強まることを危ぶむ声もある。NHKの肥大化が民業を圧迫する懸念もぬぐえない。

     国民が納得できる公平な制度にしなければならない。

     もう一つは、超高精細の4K・8K放送に要する費用を見通せないことである。政府は普及の旗振り役を務めるが、採算性に不安が残る。

     さらに注目されるのは、テレビを持つ世帯に受信契約を義務づけた放送法が合憲かどうかを、最高裁が審理する見通しになったことだ。判断次第では徴収の実務に影響を与える可能性がある。

     NHKは東京・渋谷の放送センター建て替え経費にめどが立ったとして値下げを打ち出したが、唐突すぎた。12年の引き下げ時に半年かけて経費を見直したような議論はなく、来年1月に任期満了を迎える籾井会長の実績づくりと批判されても仕方ないだろう。

     NHK受信料のあり方は、総務省の有識者会議でも検討されている。受信料改革はそうした多様な声にも耳を傾けて進めるべきだ。NHKに何を求めるかを、もっと国民レベルで考えなければならない。

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