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DeNA

医療情報サイト非公開 信頼性疑問、都も問題視

サイト内の全記事を非公開とした医療情報サイト「ウェルク」のトップページ

 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA、東京都渋谷区)が運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、サイト内の全記事を29日に非公開とした。このサイトをめぐっては、「記事の内容が誤っている」などの指摘が相次ぎ、サイトの「閉鎖」はそれを事実上、認めた形だ。誤った情報を信じて病状を悪化させた実例も出ている。同社は「多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」とのコメントを出し、記事のチェック体制を見直した上での再開を目指しているが、事態を重く見た東京都は「医薬品医療機器法(旧薬事法)に抵触しかねない」として近く、同社から事情を聴く方針だ。

 ウェルクは、DeNAが2015年10月に開設した。編集部の依頼で外部ライターが書いた記事のほか、登録した人による投稿、企業などの依頼を受けた記事広告などが掲載された。記事から販売サイトに誘導し、そこでの収益が同社に還元されるアフィリエイトリンクを張った記事もあった。同社によると、月間の利用者は延べ約2000万人。

 約1カ月前から、医学的に不正確な記事や、特定の商品の「効果」をうたうなど、信頼性に問題があるとの指摘がネット上で相次いだ。同社は11月25日、一部の記事について「内容に誤りがあった」と認め、非公開にするとともに、読者からの通報を受け付ける投稿フォームを設けたが、その後も指摘が相次ぎ、全記事の非公開を決めた。

誤った記事信じ、やけど悪化の事例も

 実害も起きている。東京都でクリニックを開業する桑満(くわみつ)おさむ医師は今年の夏、海外旅行でひどい日焼けをした患者を診察した際、異常に気付いた。水ぶくれが起きる「2度」のやけどに直接、タオルを当てたため、タオルが皮膚と癒着してしまっていた。理由を尋ねると「先生のサイトを参考にした」と言う。桑満さんはクリニックのブログに身近なけがや病気などについて書いていたが、そんなことを書いた覚えはなかった。

 9月ごろには、別の患者から「クリのアレルギーがあるかどうか調べてほしい」と頼まれた。一般的なアレルギー検査の項目に入っていないため、患者に理由を聞いたところ「先生が(ブログに)クリでゴムのアレルギー同様の症状が出ると書いていた」と答えが返ってきた。

 疑問が解けたのは11月半ば。偶然、ウェルクで放射性物質の影響を防ぐとうたう商品が紹介されていたのを見つけ、首をかしげつつサイト内を調べたところ、自分のブログへのリンクが約200本張られ、桑満さんがブログに書いていない対処法が誘導部分に書かれていた。夏以降に受診した患者はいずれも、不適切な「改変」によって記事を桑満さんの主張と信じ込み、受診していたと分かった。

 桑満さんは「出典を示して転載するのは構わないが、改変は困る。落ち着いて読めばおかしな記述と分かるが、けがややけどで慌てて検索し、誤った応急処置を信じてしまう患者がほかにもいるかもしれない」と心配する。

検索上位に来る仕掛け 東京都、同種のサイトも調査方針

 さらに事態を悪化させたのは、ウェルクの記事が、検索結果の上位に来るよう戦略的に書かれていたことだ。これはSEO(検索エンジン最適化)と呼ばれる仕組みで、検索されやすいキーワードを織り込むなどの手法が代表的だ。上位に表示されると閲覧される確率が上がる。閲覧数が増えれば、広告収入が増える。ウェルクはこうしたノウハウを踏まえ、編集部が筆者にSEO対策を指示していたという。

 同社は毎日新聞の取材に対し「掲載記事数が多く、チェック体制が不十分だった。今後は専門家の監修を受けた上で記事を公開する。(再開までに)時間が必要だが、役に立つサイトにしたい」と答えた。守安功社長を委員長とする管理委員会を設置し、記事のチェック体制の強化などを検討する。桑満さんは「読者には、もとの記事のどこがどう間違っていたかが分からないままだ。再開するとしても、記事を削除せず間違いを明示すべきだ」と指摘する。

 健康や命にかかわる情報に、利益優先の価値観で誤った情報が加えられていた今回の事例。東京都は「特定の製品を紹介して効果をうたっているのであれば問題だ」として、DeNAに話を聞く。都はウェルク以外にも「情報サイト」をうたって特定の製品を宣伝するサイトがあるとみて調査する方針だ。【岡礼子/デジタル報道センター】

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