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社説

対北朝鮮制裁 人権でも圧力を強めよ

 核開発を続ける北朝鮮への強い警告としなければならない。

     国連安全保障理事会が北朝鮮に対する新たな制裁決議を採択した。9月に行われた5回目の核実験を受けたものだ。2006年に北朝鮮が初めて核実験を行って以降、6回目の制裁となる。

     制裁は回を重ねるごとに厳しさを増してきたが、それでも「抜け穴」があった。今回の決議は、抜け穴をふさぐことに主眼を置いている。これまでの経験を踏まえた適切な方向性であろう。

     最大の特徴は、北朝鮮からの石炭輸出に上限を設定したことだ。

     昨年に約10億ドルだった石炭輸出を最高でも年間約4億ドルに制限する。他の鉱物資源の輸出規制も強化される。米国のパワー国連大使は、貿易で得る外貨の25%に当たる年間8億ドルの収入減になると強調した。

     今年3月の制裁決議でも鉱物資源の輸出は原則禁止だったが、収入を国民生活のために使うならば例外とされた。最大の輸入国である中国は書類さえあれば例外と認めたため、実際の貿易に大きな影響は出なかった。今回の上限設定で、同様の事態を防がなければならない。

     中国には、国境地帯での密輸も許さない厳しい姿勢が求められる。

     決議には、労働者の国外派遣による外貨収入が核・ミサイル開発に使われているという懸念が初めて盛り込まれた。労働者派遣の外貨収入は年間10億ドル以上と推定されている。国際的な監視強化が必要だ。

     北朝鮮国内の人権状況への懸念も記述が強化された。公開処刑や外国人拉致などを念頭に置いたものだ。

     北朝鮮は人権問題で特に、責任者として金正恩(キムジョンウン)氏を名指しされることに強い拒否反応を示す。人権で圧力を強めることは、最高指導部に心理的な圧力をかけるのに有効だろう。国際社会として、もっと考えていい方法である。

     一方、制裁だけで核開発を止めることは難しい。最終的には北朝鮮に核放棄を迫る交渉が必要であり、やはり米国の役割が大きい。

     トランプ次期米大統領の姿勢は不明確だ。金氏との直接対話に言及したり、中国に責任を押し付けるような発言をしたりという具合である。

     しかし、オバマ政権が「戦略的忍耐」を掲げて実質的な対処ができなかった間に、北朝鮮は核・ミサイル開発のペースを上げた。もはや米国にとっても対岸の火事とは言えない状況のはずだ。

     北朝鮮の脅威への対処は日米韓の連携が基本である。政府には、北朝鮮を巡る情勢の厳しさをトランプ氏にきちんと認識してもらうための外交努力を強く期待したい。

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