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社説

NHK会長交代 「籾井時代」の反省生かせ

 混乱が続いていたNHKの体制が刷新されることになった。この間の反省を生かさなければならない。

     NHKの新しい会長にNHK経営委員で元三菱商事副社長の上田良一(うえだりょういち)氏が決まった。籾井勝人(もみいかつと)会長は来年1月の任期満了で退任する。

     籾井氏は公共放送のトップとしての資質を疑わせる言動を繰り返し、信頼を損なった。会長を選んだ経営委員会も人を見る目がなかったことを大いに反省する必要がある。

     籾井氏は、2014年1月の就任直後から問題を引き起こしてきた。

     慰安婦制度について「戦時中はどこの国にもあった」と述べ、NHKの外国向け放送について「政府が右といっているものを左というわけにはいかない」と発言した。私的なゴルフで使ったハイヤー代金をNHKに立て替えさせたこともある。経営委員会は籾井氏を3度注意した。

     国会もこれらを問題視し、NHK予算は3年連続で全会一致の承認を得られなかった。それでも籾井氏の姿勢は改まらなかった。原発報道を巡って「公式発表をベースに」との指示を出し、国会で追及された。

     NHKには、異なる意見を公平に紹介し、議論を深めるという大切な役割がある。しかしジャーナリズムの基本をわきまえない籾井氏の言動は公共放送の独立性を揺るがした。その責任はきわめて重いと言わなければならないだろう。

     この3年は、放送局への政治介入の動きが強まった時期と重なる。

     自民党の調査会はNHK幹部らを呼び、報道番組の内容について事情を聴いた。高市早苗総務相が、政治的公平を欠く放送を繰り返したと判断した際、放送局に電波停止を命じる可能性に言及したこともあった。

     誤った報道をしたり、番組に問題があったりすれば放送局が正すのは当然だが、自律した判断によらねばならない。あくまでも自らの責任で必要な営みをなすべきである。

     そうした時に公共放送のトップであるNHK会長が、介入の防波堤になるどころか政府に迎合するようでは現場が萎縮しかねない。

     新会長になる上田氏は「籾井時代」の負の遺産を清算することからの出発になる。経営委員会が会長の資格要件にも掲げた公共放送の使命を十分に理解し、国民の信頼を取り戻さなければならない。それには政治と距離を置くことが求められよう。

     上田氏は財界の出身ながら3年にわたり常勤経営委員を務め、NHKに精通していると言われる。

     番組のインターネット同時配信や次世代放送への取り組みなど、懸案は山積している。新会長は、豊かでよい番組をあまねく公平に提供する原点に立ち戻らねばならない。

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