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今村復興相、辞任の意向 被災地巡る発言で

第2回 アクセサリ女=室井佑月

 中高一貫校に息子が入学し、はじめて行われた学校のPTAの会合で、出席者はまわりの人間に挨拶がてらまず、自分がどの子の母親であるかを話した。

     そして一部の人間は、その延長線上で旦那の職業を語り合った。驚いた。不思議でならなかった。

     PTAが発足するのは、学校行事を補佐するためだ。つまり、子どものための親の集まりである。

     PTA活動を円滑に進めていくため、集まった母親同士、自分はこういう人間だとアピールするのも、相手がどんな人であるのか軽く探るのも、ありだろう。

     だが、学校行事やPTAに参加しない父親(参加する父親もいるらしい)の職業なんて、話す意味があるのか。

     他人の旦那の職業を聞きたがる女は、自分の旦那の職業を語りたい女だ。旦那は大抵、エリート。医者であったり弁護士であったり、わかりやすい肩書を持っている。

     ただ、彼女たちはそれだけじゃ終わらない。医者や弁護士にも順列があるのかもしれない。「どこの大学、ご出身?」というような質問までし合ったりして。

     初対面の人間にいきなり学歴を聞くのは失礼だと思うが、まだ目の前の相手に対し、「あなた、どちらの学校ご出身?」というならばわかる。そこから、「ああ、○○といったら何県ね。わたし、生まれは隣の××県よ」と話が広がっていくこともあるだろうから。

     けれど旦那の出身校なんて、これから先もまったく関係ないだろう。

     結局、こういったことをする女にとって、旦那というのは自分を飾るアクセサリのひとつであるに違いない。旦那だけをターゲットにするわけもなく、子どもや、親なんていうのもそうなのかもしれない。

     そういえば以前、ママ友が集まって「正月はどんなお雑煮か」という話で盛り上がっていたら、この手の女が割り込んできて、

    「主人の実家に、全員、集まらなきゃならないの。お母様がうるさくって」

     と旧家自慢をしていたっけか。

     笑かす。姑のことを他人に話すときに、「お母様」という言葉が出てくる。ちょっと敬意を払って「お姑」くらいでいいんじゃない? いい歳した人間が、自分の親のことを他人に語るとき、「父」「母」といえないぐらい恥ずかしい。

     愚かな人だ、と思った。嫌いとまでは思わないが、どうやって仲良くなっていいかもわからなかった。

     ま、旦那をアクセサリのように扱う女は、友達にもそうであることを求めていると思うので、バツイチでフリーターのあたしが友達に選ばれっこないからそれでいい。

     アクセサリで人を威圧しようとする女は、ほかのアクセサリ女と徒党を組もうとする。アクセサリ女同士は、価値観が一緒で安心するのか、団子のようにいつもくっついている。そのつながり、接着剤は、自分たちとは違う者の悪口であることが多い。

     自分とはまったく違う、その一点で根も葉もない悪口を方々にいったりするのはやめてもらいたい。

     違う種類の女とは交わりたくないのかもしれない。不安なんだ、きっと。「べつにあなたのアクセサリには興味がないのです」といわれるのが。アクセサリを取ったら何も残らない、自分がないから自分すら残らない。

     あたしみたいな女を排除しようとするその勘は当たっている。アクセサリをひけらかされても、あたしはたぶんこう訊いてしまう。

    「で、あなたはなにをいいたいのですか?」

    「あなたはどういった人なのですか?」

     一歩踏み込んで仲良くなるには、その人がどういう人かわからないとはじまらないのだし。

     たまたま子どもがおなじ学年でおなじ学校へいっている。その親の中から友達を作ろうとするほうがおかしいのだろうか。

     いいや、友達なんてそうやって作っていくもの。たまたまの中で、たまたま気が合う人が見つかるといい。

    室井佑月

    1970年、青森県生まれ。雑誌モデル、銀座・高級クラブでのホステスなどを経て、1997年に「小説新潮」主催「読者による『性の小説』」に入選し、作家デビュー。小説家、随筆家、タレントとして多岐にわたり活動している。2000年に第一子となる男児を出産。2016年には、一人息子の中学受験と子育てについて愛と葛藤の8年間を赤裸々に綴ったエッセー『息子ってヤツは』(毎日新聞出版)を上梓。主な著書に『熱帯植物園』(新潮社)、『血い花』(集英社)、『子作り爆裂伝』(飛鳥新社)、『ママの神様』(講談社)などがある。

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